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"紅白前ラストステージ"に見たももクロの真髄!ももクリ2012最終日レポ

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ももいろクローバーZにハマったという人にその理由を尋ねると、高確率で次のような答えが返ってきます。
「とにかく一生懸命で、いつでも全力なところ」

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自分はそんな答えを聞くたびに、ああ確かにそうだよね! という納得と、う~んでもなあ……というどこか腑に落ちない消化不良な気分を同時に感じていました。確かに2011年、Zepp Tokyoで初めてももクロのライブを観た時、尋常じゃない熱量を発しながらただひたむきにパフォーマンスする5人の姿に、これまで味わったことのない興奮を覚えました(記事はこちら→ 【アイドル】ももクロ@12・25さいたまスーパーアリーナ前に予習しよう! [ http://ure.pia.co.jp/articles/-/1919 ] )。

ただ、じゃあ自分はいつも一生懸命で全力だからももクロが好きなのかと自問すると、彼女たちの魅力がそれだけだとはどうしても思えませんでした。自分はなぜももクロにここまで惹かれるのか。ももクロに出会って以来、自分はそれをずっと言葉にできないでいたのです。

時は流れて2012年12月25日。さいたまスーパーアリーナで行われた『ももいろクリスマス2012~さいたまスーパーアリーナ大会~』の2日目。このライブに参加した筆者は、初めてその問いに対する答えが見つかった気がしました。しかもそれは、あるメンバーの口から直接語られたのです……! そのあたりについては最後に触れるとして、ももいろクローバーZにとって“紅白前ラスト”のステージとなった、ももクリ2日目の模様をレポートしていきます。

開演ギリギリに席に着くと、後ろの方から「かなこぉ~」というあどけない声が聞こえました。振り向くと、親御さんに連れられた小学校低学年くらいの女の子が、今か今かと開演を待ちわびていました。昨年のももクリでも女性ファンの多さに驚きましたが、あれから1年が経ち、ファン層の幅はさらに広がっていたように思います。

アリーナ後方には放送席が用意され、開演前の楽屋の様子をリポートしたり、各メンバーのコンディションを解説するなど、格闘技・プロレスチックな演出は前回のももクリと同様(思い返すとこの時、有安杏果のノドの不調にも触れてましたね)。ゲストの渡部陽一の「(あの口調で)世界が、アイドルを、必要としています……!」という言葉が頭にリフレインする中、場内が暗転。ライブ本編へと誘うオープニング映像が流れます。

ももクロの軌跡を凝縮したような全方位型セットリスト

各メンバーがももクリへの意気込みを語る中、百田夏菜子は「今できるももクロの“ファンタジー”を、モノノフのみなさんと一緒に作れたら」という言葉を残しました。それに続くナレーションでは「今回のももクリは、ももクロとモノノフが作る秘密のネバーランド」とも。ネバーランドと言えば『ピーター・パン』に出てくる、永遠に年を取らない子どものままでいられる楽園。例え今宵限りの儚いファンタジーだとしても、そんな夢の空間を一緒に作る共犯者になってほしい。このライブに賭ける願いと覚悟が込められているように感じました。

ステージに5人が登場すると、地鳴りのような歓声が響きます。巨大なスクリーンとメンバーの動きがシンクロする、こちらも昨年と同様の演出で5人のメンバーを紹介。そして放たれたももクリ2日目の幕開けとなる1曲は、布袋寅泰が作曲・編曲を手掛けたことで話題の『サラバ、愛しき悲しみたちよ』!

ももクロは多くのクリエイターから楽曲提供を受けていますが、ももクロの個性やカラーに作者側が寄り添っていくもの(やくしまるえつこ作『Z女戦争』はこっち)や、リフひとつとってもHOTEI印が刻まれている『サラバ~』のように作者の個性を前面に出したものなど、楽曲によって作者の「ももクロとの距離のとり方」が垣間見えるようで面白いです。

さらに『サラバ~』のカップリングである『Wee-Tee-Wee-Tee』『黒い週末』を連打するという荒技をかましていくももクロ。 特に6分超の長尺チューン『黒い週末』のダークな世界観がたまアリの広大な空間に充満していくさまは、観ていてゾクゾクしました。

オープニング映像で「ももクリ、それはももクロの原点であり集大成」というナレーションもありましたが、この日の選曲はこれまでのももクロの軌跡を凝縮したような全方位型セットリスト! シングル、カップリング、アルバム曲、カバー曲……どれをとっても、ももクロのライブに欠かせない曲ばかり。筆者は「捨て曲」という言葉が大っ嫌いなのですが、そんな言葉の出る幕が一切ない圧倒的な内容でした(初日もすさまじかったようですね。両日のセトリを見比べると、ライブの緩急のつけ方がだいぶ違っていて興味深いです)。

あの瞬間のももクロにしか生み出せない光景

昨年11月に行われたぴあ40周年イベントのレポートでも書きましたが(記事はこちら→ももクロから岡村靖幸まで個性派だらけの8時間!ぴあ40周年祭がカオスすぎた [ http://ure.pia.co.jp/articles/-/10999 ])、この日も5人のパフォーマンスは基本的にはいつも通りでした。

もちろん大会場ならではの演出(『ワニとシャンプー』でメンバーが宇宙船で天井付近まで飛行する演出は観ててハラハラした 笑。高すぎる!)はありつつも、<楽曲とメンバーのパフォーマンスで魅せる>という基本軸はブレず、自分たちにできること=歌とダンスのクオリティを高めていくことで、現時点での最高のパフォーマンスをみせようとしていました。そんな5人の気迫が、数万人のモノノフを熱狂へと巻き込んでいきます。自分は400レベル(いわゆる4階席)というけっこう高い位置で観ていたのですが、ライブ中盤の『PUSH』や終盤の『Chai Maxx』では客席がグワングワン揺れて怖かった……!

いつも通りと言えば、ゆるい寸劇やMCも相変わらず。「あーははは、なんかいろいろ悪いねえ」を連呼するぶっ壊れたおでんくんに崩れ落ちる5人。『ワニとシャンプー』の宇宙船を「最新型のアダムスキー型」と紹介したり、鹿とトナカイをカン違いする高城れに(恒例のマジックも更にパワーアップしていました!)。さらに今年も開催が決定した『ももクロ試練の七番勝負episode.3』(前回の模様はこちら→『ももクロ試練の七番勝負episode.2』全日レポート! [ http://ure.pia.co.jp/articles/-/2987 ] )の紹介VTRで登場したダチョウ倶楽部のネタに合わせて「どうぞどうぞ」のサイリウムの波を起こすお客さん(笑)……などなど、今回もたくさん笑わせてもらいました。


またこれも今さらな話ですが、改めて痛感させられたのが楽曲のクオリティの高さです。単に「いい曲」だけでなく「すごい曲」ばかり……! 特にM-13『白い風』から『ミライボウル』『労働讃歌』『ピンキージョーンズ』と新旧のアッパーチューンが連打されたパートの盛り上がりは、ちょっと尋常じゃないものがありました。民族音楽メロとデジロックサウンドが交錯しキラメキまくるサビが爆発する変態オケ、そこで歌われる「天下を取りに行くぜぃ」という歌詞が紅白出場6日前というタイミングでグッと胸に迫った『ピンキージョーンズ』で数万人が乱舞する様は、間違いなくあの瞬間のももクロにしか生み出せない光景でした。もちろん音源としての魅力にあふれつつ、やはりライブという場でより輝きが増すのが、ももクロ楽曲の大きな特徴だと思いました。


「試練に立ち向かう」というアティテュード

圧巻は、まさかのおやじダンサーズが登場した『行くぜっ!怪盗少女』。中年おやじたちがたまアリのセンターステージで踊りまくるさまは、ちょっとした地獄絵図……! ライブのクライマックスとも言えるタイミングでこの大ネタ投下は、ライブの盛り上がりを削ぐ可能性も十分にあり、相当リスクも高かったはず。自分はあまりの衝撃に驚くヒマもなくただただ爆笑するのみでしたが、「♪レニカナコ~シオリアヤカモモカ」のコールアンドレスポンスで途切れかけたライブのグルーヴをつなぎとめ、大サビの本人登場で爆発させる流れは見事でした! あれはモノノフたちを信頼していないとできない演出だったと思います。そんな衝撃演出で盛り上がった観客は、その後登場した松崎しげる氏の熱唱でさらなるカオスへと突入していくのでした……。

さて、もうご存じの方も多いと思いますが、この日のライブでは冒頭(1曲目が始まるより前)から「南国ピーナッツ」なる謎の敵役がたびたび登場し、ももクロのライブを妨害するという演出がありました(初日でも同様の演出があったそう)。つまり観客は<ももいろクローバーZ 対 ライブを邪魔する悪役>という対立構造を、ライブ本編前に確認することになります。

マネージャー川上アキラ氏に代表される「大人たち」からさまざまな試練を与えられ、それをクリアすることで成長し、新たな試練へと立ち向かっていく――ももクロは常になにかと戦い続けてきました(それこそどんな時も一生懸命に、全力で)。その戦う相手がこの日は南国ピーナッツだったわけで、ライブ中にも対決シーンなどの演出が多く盛り込まれていました。こうした「試練に立ち向かう」というアティテュードは、ももクロの特徴のひとつです。


歴史を重ねる中で生まれた喜びや苦しみをともに分かち合うことで、アイドルとファンの間に“物語”が生まれます(ももクロの歴史を紹介した記事はこちら→ ももクロ、夢の紅白間近!?ライブ聖地巡礼で振り返る激動の5年史 [ http://ure.pia.co.jp/articles/-/10364 ] )。ももクロはそこに「試練に立ち向かう」という要素をプラスすることで、より意識的にファン=モノノフとの絆を強く結びつける物語を紡いできたように思います。今回のライブでは、「南国ピーナッツとの戦い」という別軸を設けライブ本編とリンクさせることで、ももクロならではのエンタテインメント・ショーを作り上げていました。

その意味で、ももクロにとって最大の試練だった『紅白歌合戦』でのパフォーマンスは、ももクロとモノノフの間で共有されてきた物語のひとつの極点だったと思います。同時に紅白の舞台は、ももクロの物語を共有していない“その他大勢の人々”に向けて、過去最大規模のスケールでももクロの今を伝えることができた、とても貴重な機会にもなったのではないでしょうか。

さて、ももクリの圧倒的なステージに興奮しながら、自分は冒頭の問いに答えを見出せないでいました。「いつも一生懸命で全力」という言葉では表現できない、自分にとってのももいろクローバーZの魅力とはなんなのか。常に目の前の敵や試練に挑み、戦い続ける姿勢に惹かれるのか。それとも紅白の先へと向かう物語に魅せられているのか……。ライブはアンコール『ももクロのニッポン万歳!』で、見事な大団円を迎えました。

これからもみなさんに、たくさんの気持ちを届けていけたらと思います

ライブを終え、ファンに向けてメッセージを贈るメンバー(このMCは全員本当にすばらしかったです。なんらかのかたちで記録に残るといいのですが)。最後に語りだしたのは、リーダーの百田夏菜子です。ライブ本編中にも「わたしたちは、いつでも前に壁がないとダメだね」と言った彼女は、涙で声を詰まらせながら「夢が叶うということは、新しい夢が生まれるということ」、「目の前にある壁は、いつも夢でもあるんです」という名言を残しました。そしてこんな言葉で自身の、そしてももいろクローバーZのリーダーとしてのあいさつを締めくくったのです。

「これからもみなさんに、たくさんの気持ちを届けていけたらと思います」

自分は溢れ出る感情を抑えながら、この言葉を逃さぬよう急いでメモを取りました。そして自分がなぜももクロを好きなのか、その明確な答えをようやく見つけた気がしたのです。

誰かに気持ちを届けること。それはなにかを表現することの根本であり全てです。表現するかたちは様々でも、アイドルとファンはいつだって「気持ちを交感している」のです。アイドルがステージ上で一生懸命にパフォーマンスするのも、ファンが全力でコールしサイリウムを振るのも、届けたいのは「好き」とか「応援したい」とか「ヤバい」とかいう“気持ち”です。しかし自分も普段の生活で嫌というほど実感していますが、誰かに気持ちを届けることはとても難しいものです。面倒くさいし、手間もかかるし、失敗するし、間違えるし、もがいた挙句に正確に届かないこともザラ。届いたところで受け入れてもらえるかも分かりません。

そんな難しいコミュニケーションを数万人のファンと密に交わすことができるももいろクローバーZは、つまり「誰かに気持ちを届けることにめちゃめちゃ長けている人たち」なんだと思います。そして彼女たちの気持ちは、初めてライブを観た時からちゃんと自分の心にも届いていたことに気づかされたのです。

激しいパフォーマンス、力強い歌声、刺激的な楽曲、思わずニヤリとするギミック、常に立ち向かう姿勢、未来へと向かう物語、眩しい笑顔、光る涙――そんなももクロのすべてを通して、自分は5人から“気持ち”を受け取っていたのだ。言葉に出来ないほど深いレベルで「気持ちの交感」をできていたからこそ、自分はももクロのことがこんなにも好きになったのだ。そんなことをライブの最後の最後に、ようやく気づかされたのでした。

わざわざ引っ張って今さらそんなことかよ!と言われると、確かにそう思います……どんだけ今さらなんだと。ただ自分は、他ならぬももクロのリーダーの言葉からこのことを気づかされたことが、とても衝撃的でした。デビューから5年にも満たない時間の中で、表現の本質を掴んでしまった彼女たち。特に急速に状況が拡大してきたここ1~2年は、想像を超えるほど濃密で過酷な時間だったのではないか――。思わず抱いてしまったそんな感傷を遮るように、涙を流していた5人も最後は満面の笑顔でステージを去り、夢に見た『紅白歌合戦』の舞台へと旅立っていったのでした。


新年を迎え、「国立競技場でのライブ」という新たに超えるべきハードルを発表したももクロ。紅白出場を経て、この先彼女たちはどんな道を歩んでいくのでしょうか。でも彼女たち自身も「わたしたちは何も変わっていない」と言うように、5人が「誰かに気持ちを届ける」という根本を見失わない限り、ももクロはももクロであり続けるでしょう。西武ドーム2daysを含む全国ホールツアーも決定しましたが、最近はライブを観ることも難しくなってきたももクロ。次にまたライブを観ることができる機会があったら、会場で自分の心に聞いてみようと思います。「俺、ちゃんとももクロの気持ちを受け取れているか?」と。

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ももクロから岡村靖幸まで個性派だらけの8時間!ぴあ40周年祭がカオスすぎた [ http://ure.pia.co.jp/articles/-/10999 ]
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【ももクロ】いつからファンになった? [ http://ure.pia.co.jp/articles/-/10389 ]
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