ピーチ、エアアジア・ジャパン、ジェットスター・ジャパンなどの格安航空会社(LCC)が次々と発足し、航空業界は「値下げ戦国時代」に突入しています。
しかし荷物料金が有料だったり、夜の便が運休になると翌朝まで待たなければならない、座席が狭いなど、さまざまな難点があるがゆえに敬遠する人も少なくありません。そこで、格安航空ならでは「空の旅」の楽しみ方や注意点、ビジネスでの役立て方を、航空アナリストの鳥海高太朗さんにおうかがいしました。
■家族連れには強い味方のLCC
――価格が安いのがLCCの魅力ですが、中には「安いからサービスも悪いんでしょ」と思い込んでいる人も少なくないようですが……。
「たしかに、手荷物を預けるときは有料ですし、座席も大手航空会社に比べると狭いですし、1便が遅れると玉突きのような形で便が次々と遅れるなど、問題は数多くあります。しかし、そんなデメリットも含めても、LCCは魅力ある移動手段です」
――その魅力とは?
「それは何といっても『料金が安い』の一言に尽きますね(笑)。特に家族で出掛けたときに、それを痛感するはずです。
例えば家族4人で夏休みや年末年始などに帰省するとき、仮に首都圏から北海道や九州へ行くとなると、飛行機代だけで往復20万円近くかかってしまいます。でもLCCなら、片道1万円の場合でも4人で往復8万円。費用対効果は抜群で、高速バス感覚で旅を楽しめます」
――「料金が安い」以外のLCCの魅力はありますか?
「CAがとても明るいですね。大手航空会社の場合、キシっとしたCAが多いですが、LCCだと髪をしばってなかったり、染めててもOKという会社もあります。好みは人それぞれだと思いますが、個性豊かな接客サービスで、大手との差別化をはかっています。
また、大手だとフライト日時が近づくにつれてチケット価格は上昇しますが、LCCは直前でも航空券の価格は空席が多ければそのまま。なので『札幌でラーメンが食べたいなぁ』と思い立ったら、すぐに1万円以下の航空券を手配し、札幌でラーメンを食べて帰る……ということも可能なんです」
――なるほど。LCCを上手に活用すれば、旅行の幅も広がりますね。ちなみにビジネスマンが仕事で使うとしたら、どんな使い方が有効的だと思いますか?
「工場や農場見学など、時間を気にしなくていい出張には役立つと思います。逆に時間を気にする出張には、あまりオススメできません(笑)。
遅れや欠航のリスクがあるので。今はメールやスカイプなど、直接会わなくても交渉できるツールがたくさんありますが、やはりじかに会ったほうが情報量も多いし、その後のつながりも深くなる。その点では、LCCは人と人をつなぐツールとして大変有効ですね。
また、移動代が出ないフリーランスの人、そして月に何度も往復する単身赴任の人にも、LCCはオススメの移動手段です。
航空会社によっては半年先まで予約できる(大手は約2カ月先までしか予約できない)ので、帰省などで使用する航空券は早めに予約しておけば、年末年始やお盆などの繁忙期でも安い価格で移動することができます」
■行きはLCC、帰りは大手と使い分け
――LCCの現時点での問題は何でしょうか?
「現在、LCCを扱う航空会社が取り組んでいるのが、便の遅れの問題です。LCCは同じ機体で運行するので、仮に始発で遅れが生じると、そこから玉突き状態で遅れてしまいます。
また、エアアジア・ジャパンなどが乗り入れしている成田空港は、騒音問題などもあり、23時を過ぎると着陸できない決まりになっています。そのため最終便が欠航……なんてことも珍しくありません。この問題は、現在航空会社が空港側と協議を行い、解決に向けて取り組んでいるところです」
――座席の問題についてはいかがでしょうか。
「座席は、横幅に関しては基本的に大手と同じ配列ですが、前後は狭いです。なので、リクライニングされるとキツいですね。ちなみに料金を追加すると、最前列や非常口付近など、前後のスペースが比較的広い席を確保できる場合があります」
――狭いスペースでの我慢が必要なんですね(笑)。
「まあ、国内便ならフライト時間はせいぜい1~2時間なので、我慢すればどうってことないですよ。さすがに3時間以上になるとツラくなってきますけど(笑)。
私も仕事柄、LCCはよく利用しますが、帰京後によく予定が入っているので、帰りはLCCと比べて時間が読みやすくて疲れにくい、大手の便を使うことが多いです」
――ほかにLCCで気をつけるべきポイントはありますか?
「大手に比べるとチェックインの時間に厳しいので、余裕をもって空港に着くことが肝要です。また、航空会社のサイトをチェックはこまめにしておくと、格安キャンペーンの情報を見落とさないですみます。情報をうまく有効活用すれば、LCCをより楽しめるはずですよ」
デメリットはあるけど、それを補って余りあるくらいのメリットがあるLCC。皆さんもぜひ利用してみてはいかがかな?
鳥海高太朗
航空・旅行アナリスト。城西国際大学観光学部助手。現在、文化放送『吉田照美 ソコダイジナコト』に毎週火曜日出演(朝7時15分ごろ)。
個人ブログ「きまぐれトラベル日記」 http://www.ktnikki.com
(OFFICE-SANGA 春名晃平)
【関連リンク】
激安航空チケットはここまできた
H.I.S.に聞く! 格安チケットの入手方法は!?
話題の海のLCCについて聞いてきました!
しかし荷物料金が有料だったり、夜の便が運休になると翌朝まで待たなければならない、座席が狭いなど、さまざまな難点があるがゆえに敬遠する人も少なくありません。そこで、格安航空ならでは「空の旅」の楽しみ方や注意点、ビジネスでの役立て方を、航空アナリストの鳥海高太朗さんにおうかがいしました。
■家族連れには強い味方のLCC
――価格が安いのがLCCの魅力ですが、中には「安いからサービスも悪いんでしょ」と思い込んでいる人も少なくないようですが……。
「たしかに、手荷物を預けるときは有料ですし、座席も大手航空会社に比べると狭いですし、1便が遅れると玉突きのような形で便が次々と遅れるなど、問題は数多くあります。しかし、そんなデメリットも含めても、LCCは魅力ある移動手段です」
――その魅力とは?
「それは何といっても『料金が安い』の一言に尽きますね(笑)。特に家族で出掛けたときに、それを痛感するはずです。
例えば家族4人で夏休みや年末年始などに帰省するとき、仮に首都圏から北海道や九州へ行くとなると、飛行機代だけで往復20万円近くかかってしまいます。でもLCCなら、片道1万円の場合でも4人で往復8万円。費用対効果は抜群で、高速バス感覚で旅を楽しめます」
――「料金が安い」以外のLCCの魅力はありますか?
「CAがとても明るいですね。大手航空会社の場合、キシっとしたCAが多いですが、LCCだと髪をしばってなかったり、染めててもOKという会社もあります。好みは人それぞれだと思いますが、個性豊かな接客サービスで、大手との差別化をはかっています。
また、大手だとフライト日時が近づくにつれてチケット価格は上昇しますが、LCCは直前でも航空券の価格は空席が多ければそのまま。なので『札幌でラーメンが食べたいなぁ』と思い立ったら、すぐに1万円以下の航空券を手配し、札幌でラーメンを食べて帰る……ということも可能なんです」
――なるほど。LCCを上手に活用すれば、旅行の幅も広がりますね。ちなみにビジネスマンが仕事で使うとしたら、どんな使い方が有効的だと思いますか?
「工場や農場見学など、時間を気にしなくていい出張には役立つと思います。逆に時間を気にする出張には、あまりオススメできません(笑)。
遅れや欠航のリスクがあるので。今はメールやスカイプなど、直接会わなくても交渉できるツールがたくさんありますが、やはりじかに会ったほうが情報量も多いし、その後のつながりも深くなる。その点では、LCCは人と人をつなぐツールとして大変有効ですね。
また、移動代が出ないフリーランスの人、そして月に何度も往復する単身赴任の人にも、LCCはオススメの移動手段です。
航空会社によっては半年先まで予約できる(大手は約2カ月先までしか予約できない)ので、帰省などで使用する航空券は早めに予約しておけば、年末年始やお盆などの繁忙期でも安い価格で移動することができます」
■行きはLCC、帰りは大手と使い分け
――LCCの現時点での問題は何でしょうか?
「現在、LCCを扱う航空会社が取り組んでいるのが、便の遅れの問題です。LCCは同じ機体で運行するので、仮に始発で遅れが生じると、そこから玉突き状態で遅れてしまいます。
また、エアアジア・ジャパンなどが乗り入れしている成田空港は、騒音問題などもあり、23時を過ぎると着陸できない決まりになっています。そのため最終便が欠航……なんてことも珍しくありません。この問題は、現在航空会社が空港側と協議を行い、解決に向けて取り組んでいるところです」
――座席の問題についてはいかがでしょうか。
「座席は、横幅に関しては基本的に大手と同じ配列ですが、前後は狭いです。なので、リクライニングされるとキツいですね。ちなみに料金を追加すると、最前列や非常口付近など、前後のスペースが比較的広い席を確保できる場合があります」
――狭いスペースでの我慢が必要なんですね(笑)。
「まあ、国内便ならフライト時間はせいぜい1~2時間なので、我慢すればどうってことないですよ。さすがに3時間以上になるとツラくなってきますけど(笑)。
私も仕事柄、LCCはよく利用しますが、帰京後によく予定が入っているので、帰りはLCCと比べて時間が読みやすくて疲れにくい、大手の便を使うことが多いです」
――ほかにLCCで気をつけるべきポイントはありますか?
「大手に比べるとチェックインの時間に厳しいので、余裕をもって空港に着くことが肝要です。また、航空会社のサイトをチェックはこまめにしておくと、格安キャンペーンの情報を見落とさないですみます。情報をうまく有効活用すれば、LCCをより楽しめるはずですよ」
デメリットはあるけど、それを補って余りあるくらいのメリットがあるLCC。皆さんもぜひ利用してみてはいかがかな?
鳥海高太朗
航空・旅行アナリスト。城西国際大学観光学部助手。現在、文化放送『吉田照美 ソコダイジナコト』に毎週火曜日出演(朝7時15分ごろ)。
個人ブログ「きまぐれトラベル日記」 http://www.ktnikki.com
(OFFICE-SANGA 春名晃平)
【関連リンク】
激安航空チケットはここまできた
H.I.S.に聞く! 格安チケットの入手方法は!?
話題の海のLCCについて聞いてきました!