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10年に1本の傑作キューバ映画『ゾンビ革命』は『ショーン・オブ・ザ・デッド』超え!

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キューバ映画界初のゾンビ映画として各所で話題の『ゾンビ革命 ファン・オブ・ザ・デッド』は、エドガー・ライト監督とサイモン・ペッグを一躍時の人にした2004年の映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』以来の“笑撃”作であるとともに、『ショーン~』以上の傑作コメディー映画と断言できる。



舞台は、ゾンビが蔓延し始めたキューバ。しかしコソ泥オヤジのファンとボンクラ友人のラサロをはじめ、キューバ人はゾンビ化した屍たちを資本主義国アメリカが仕向けた反体制派と勘違い。国民総出のデモを起こして国民が外に出たことから、ゾンビ率も急上昇。そんな中ファンたちは、リーズナブルな料金で反体制派を排除する「愛する人、殺します。ファン殺人代行社」ビジネスを立ち上げ、金儲けをしようと躍起になる。ゾンビを題材にしたコメディー映画は『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ゾンビランド』など数々あるが、本作ではファンたちボンクラ人間のありえない思考と、その生き様が物語の中心を占める。そもそもゾンビが蔓延る終末世界でのサバイバル劇ではなく、排除ビジネスに着手する男たちの姿を描くという時点で、その斬新さがわかるだろう。

これまでのゾンビ映画では、劇中のキャラクターたちは、ゾンビ化した人々をゾンビ、もしくは凶暴ウィルス感染者として認識してきたが、本作では米国から資金を得た反体制派キューバ人として認識してしまう。それがどうやら違うらしいと気付くと、今度は「吸血鬼」説を持ち出してニンニクを咥えさせ、ぶっ壊した椅子の脚を即席の杭にして体に滅多やたらに打ち付ける。それでも死ななければ、次は「悪霊」説を持ち出して、十字架で頭をぶん殴る。さらには「狼男」説まで持ち出して……。何が何でも「ゾンビ」という解答を出さないのだ。そんなとぼけた本作を魅力的にするのは、主人公のファンをはじめ、友人のラサロ、その息子のブラディ・カリフォルニア、血を見ると失神するマッチョとその恋人のオカマら殺人代行社の強烈過ぎる個性的な面々。ファンはどんなときも能天気だし、ラサロは息子に説教するときに、なぜかイチモツがはみ出している。息子は名前の段階でオチが付いているし、血を目にすると一瞬で気絶するマッチョは目隠しして反体制派と戦う。その失神シークエンスをしつこいぐらい挿入する、アレハンドロ・ブルゲス監督の笑いのセンスは本物だ。

また低予算を逆手にとり、大量の反体制派とのバトルは停電という設定で音声だけで表現。さらに、物語の展開が大きくなりそうになった瞬間にその原因となる人物を死なせて、ミニマムな方向性に戻すという荒業もアッパレだ。しかも作品全体を包む音楽のテイストは最初から最後までノリノリのラテン調。そんな能天気で下品な展開を見せる一方で、男同士の友情や父娘愛をさらっと盛り込み、感涙の結末に到達する流れは唸らざるを得ない。ブルゲス監督の演出家としての手腕は、反体制派ならぬ技巧派と呼びたいほど確かなもの。10年に1本あるかないかの傑作コメディーにも関わらず、日本公開の扱いが小規模という現実は残念だし、悲しいことだ。

映画『ゾンビ革命 ファン・オブ・ザ・デッド』は10月27日公開

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