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歯科医に聞く。保険診療と自由診療はどう違う?

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歯の治療に保険診療で白いかぶせ物は可能? 前歯と奥歯ではどう違う? 審美歯科でも保険診療はしてくれる? 歯の治療費について、一般患者は分からないことばかりです。

そこで、歯学博士で歯科・口腔(こうくう)衛生外科の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎先生に詳しいお話を伺いました。



■前歯は、白いかぶせ物に保険診療が適用される

「むし歯について、すべての治療は『保険診療』で可能です。ただし、見た目の美しさを追求するなど、審美と言われる方法については『自由診療』と言って、保険適用ではなく、歯科医と患者さんの契約による自由な料金設定になっています」と江上先生。

前歯を白いかぶせ物にしたい場合は、保険診療が適用されると聞きました。それについて江上先生は、次のように説明します。
「前歯は、左の犬歯(糸切り歯)から右の犬歯までの上下12本について、保険診療で白いかぶせ物が適用されます。前歯は常時人の視線に触れる場所です。ここに銀色の詰め物やかぶせ物があれば不自然でしょう。ですから前歯は、白い色の材質でも保険診療が適用されます。患者さんの希望によっては自由診療を適用することもあります」

では、奥歯の場合はどうなのでしょうか。
「奥歯で保険診療が適用されるのは銀色の詰め物やかぶせ物だけです。奥歯では、白い色の詰め物、かぶせ物は自由診療となります」(江上先生)

保険診療と自由診療では、詰め物やかぶせ物の材質は違うと聞きます。江上先生は、こう説明を続けます。
「保険診療では、前歯に関して、『レジン』と呼ぶプラスチックを使います。中でも、かぶせ物の場合、『硬質レジン前装冠(ぜんそうかん)』と言って、金属の冠を作って表面に歯の色をした硬質樹脂を張り付けるタイプを使います。

ほかに、すべて白色の『硬質レジンジャケット冠』もありますが、噛(か)み合わせに対して強度を考慮すると、硬質レジン前装冠を使うことが多くなります。

自由診療の場合は現在、陶材だけで作られた『オールセラミック』、金属で冠を作り表面は陶材の『メタルボンド』、超硬質レジンで作られた『オールハイブリッドセラミック』、超硬質レジン前装冠の『ハイブリッド前装冠』、金を用いた『ゴールドクラウン』など、複数の種類があります。一般的に、使用する歯の位置、強度の必要性、見た目、費用などについて患者さんと歯科医が相談をして決めることになります」

■かぶせ物の材質、性能、見た目、費用の違いは?

保険診療のレジンと、自由診療のセラミックなどは、材質としてどう違うのでしょうか。
「レジンは、セラミックに比べると年月による変色、劣化しやすいというデメリットがあります。ただし、自分の歯でもタバコやコーヒー、お茶などで歯磨きをあまりしないと変色しますし、年齢とともに損傷が出てくるものですから、個人差があります。
例えば、陶器とプラスチックの食器の違いをイメージすると理解しやすいと思います。

セラミックは、より本物の歯に近い自然な風合い、色目、透明度が出ます。変色はあまりなく、強度もしっかりしています」(江上先生)

では気になるそれぞれの費用について、江上先生にお尋ねし、次のようにまとめました。

<保険診療・3割負担>
・前歯のかぶせ物
硬質レジンジャケット冠 1本あたり 約3,500円
硬質レジン前装冠 1本あたり 約5,000円

・奥歯のかぶせ物
銀歯 1本あたり 約3,000円

<自由診療>
・前歯、奥歯のかぶせ物
前歯のかぶせ物
オールセラミック 1本あたり 100,000円~200,000円
オールハイブリッドセラミック 1本あたり 50,000円~120,000円
メタルボンド 1本あたり 80,000円~150,000円
ゴールドクラウン  1本あたり 50,000円~120,000円  など

費用について江上先生は、こうアドバイスします。
「保険診療の場合、どこの歯科医院でもおおむね同じ費用になります。自由診療では、歯科医が独自に料金設定しているため、大きな幅があります。上記の金額の幅は、それを意味します。

詰め物やかぶせ物の材質や技工について、自由診療のほうが質が高いということはありますが、保険診療だからといって、治療の質が劣るということではありません。審美歯科でも、小さなむし歯の治療は保険診療で行われます。

例えば近くに審美歯科しかない、保険診療でむし歯の治療をしてくれるのかどうか不安な場合は、訪れるまえに電話をし、『保険診療の範囲で治療をお願いできますか』と確認してください。

そのとき、『もちろんです』と返答があればOK、『できないこともないですよ』という返答であれば、ほかを探しtみてはいかがでしょうか。一般的な歯科医療は、保険診療に基づいて治療を行うのが基本ですから」

歯科の治療費の体系などよく分からないまま通院している人は多いことでしょう。詰め物、かぶせ物をするときなどは、治療前に費用の説明をしてくれる歯科医であれば安心だろう、とつくづく思います。

監修:江上一郎氏。歯学博士。専門は口腔(こうくう)衛生。歯科・歯科口腔外科の江上歯科院長。
江上歯科 大阪市北区中津3-6-6 阪急中津駅から徒歩1分、御堂筋線中津駅から徒歩4分 TEL:06-6371-8902 http://www.egami.ne.jp/

(藤井空/ユンブル)

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