2013年は巳年。2012年の辰年は去ってしまいましたが、まだ巳年にバトンタッチしたばかりなので、巳年を挟む「辰」と「午(うま)」をMIXしたような海の生き物、タツノオトシゴに注目してみました。おちょぼ口にくるりと丸まったシッポ。
じっと見ているとなんだか穏やか?な気持ちになると、実はファンが多いというこの生き物、調べてみると何だか不思議な魅力がいっぱいでした!
では、タツノオトシゴの面白さをご紹介していきます!
■エビ?タコ?まさかドラゴン?そもそも、タツノオトシゴって何の仲間?
むちゅーっと突き出した口元と、尾を丸めた細長い体。泳ぐというより海の中を漂っているように見えるタツノオトシゴですが、れっきとした魚類なんです。ヨウジウオ(楊枝魚)というヒョロッとした魚の仲間で、その個性的な体つきはアニメーション制作会社タツノコプロのマークでもおなじみですよね。
よーく観察してみると、魚らしくヒレやエラもちゃんとあり、背ビレと胸ビレを使って一生懸命に移動しています。ただ、あまり泳ぎは上手ではないので、尾ビレのかわりにある尾を海藻などに巻き付けて体を安定させているそう。
■シッポで手つなぎ。求愛のしぐさに思わずキュン!
そんな尾は求愛のシーンでも活躍します。まずオスが体をくねらせてメスにプロポーズ。メスが「OKよ」と受け入れると、お互いの尾先をつなぐように絡ませるのです。そして2匹のダンスがスタート。シッポをつないで、くるくるまわって。
このダンス中、2匹は体色まで明るい黄色や白の婚姻色に変化させます。恋はふたりをキレイにするのですね。ただ、なんとこのダンス、ペアによっては3日間にも及ぶことがあるそう!(休みつつですが……)
さあ、2匹の息が合ってきたらいよいよ産卵。なんとこの先が面白く、メスが卵をオスに渡してしまうのです。
■え!パパが妊娠?おなかが大きくなるのはオスなんです
オスのおなかには育児嚢(のう)というカンガルーのポケットのような器官があり、メスはこのオスのポケットに卵を落とし入れます。2匹がおなかの辺りを合わせる姿はまるでハート型。愛らしく見えますが当人たちには生命を受け渡す真剣勝負。
うまく卵が入ったらオスはポケットの口を閉じ、体を揺らして受精します。オスのおなかは大きくふくらみ、まるでマタニティママのよう。数週間後、いよいよ出産。オスのおなかから小さくてかわいいタツノオトシゴたちが産まれ、海中にデビューします。
ちなみにタツノオトシゴのペアは一夫一婦制で生涯に相手はひとりとも言われています。その夫婦仲の良さにあやかって、古来より「夫婦円満」「子宝」の縁起物としてお守りのシンボルにもされているんですよ。
■ドラゴン派、馬派、ご当地名もいろいろありまして
英名ではシーホース(海馬)と呼ばれていますが、日本では竜に赤ちゃんがいたらこんな姿なんじゃないか?という由来で「竜の落とし子」と名付けられたという和名。また、卵ではなく、オスのおなかで育った稚魚が一匹ずつ産み落とされることから「落とし子」と呼ばれたという説も。
日本の地方名の呼び名もさまざま。タツノコ、タツガシラといった竜派とウマウオ、カイバといった馬派に大きく別れています。中にはリュウグウノコマ(竜宮の駒)と竜と馬が一緒になっちゃったような名前もあったり。きっと、名付けた人々もこの不思議な生き物を魚とは思えなかったのでしょう。
江戸時代の儒者、貝原益軒の著作「大和本草」には「海馬 海中に生ずる小虫なり、頭は馬のごとく、腰はエビのごとく、尾はトカゲに似たり」と書かれています。もう謎の生き物ですね。
■さらにいろいろ。イトコもいるの?親せきも個性派ぞろいでございます
世界にたくさん種類のいるタツノオトシゴとその仲間。体の色から種名をつけられた種もいるのですが、和名は「クロウミウマ」なのに英名ではなぜか「イエローシーホース」。黒なのに黄?これ実は、環境によって身を守るために体色を変える、彼らの習性を知らずにつけてしまった名前のようです。
同じヨウジウオの仲間には「タツノイトコ」がいます。さらに冗談のような「タツノハトコ」まで!オーストラリアの海には海藻に擬態した姿の「リーフィーシードラゴン(葉のような海の竜)」なんて変わり種までいるんです。
■会いたくなったら、そして飼いたくなったらコチラへどうぞ!
どうです?今まで水族館で見かけても素通りしていたタツノオトシゴに興味が湧いてきませんか。もし、答えがYesなら南九州の「タツノオトシゴ ハウス」をぜひ訪れてみて!ここは野生種保護を目的とした日本で唯一のタツノオトシゴの観光養殖場。ゆったり泳ぐ姿に癒されるのも良し、飼育の相談にも乗ってくれますよ。
タツノオトシゴ ハウス(シーホースウェイズ株式会社)
鹿児島県南九州市頴娃町別府5202-2
http://www.seahorseways.com/
(文・イラスト/新岡薫・エトブン社)
【関連リンク】
【コラム】一度も行ったことがないけれど訪れてみたい都道府県は?
【コラム】ゴルゴ13に学ぶ! 現代の一流ビジネスマンの鉄則3つ
【コラム】君は見たか!? 世界のUMAたち!
じっと見ているとなんだか穏やか?な気持ちになると、実はファンが多いというこの生き物、調べてみると何だか不思議な魅力がいっぱいでした!
では、タツノオトシゴの面白さをご紹介していきます!
■エビ?タコ?まさかドラゴン?そもそも、タツノオトシゴって何の仲間?
むちゅーっと突き出した口元と、尾を丸めた細長い体。泳ぐというより海の中を漂っているように見えるタツノオトシゴですが、れっきとした魚類なんです。ヨウジウオ(楊枝魚)というヒョロッとした魚の仲間で、その個性的な体つきはアニメーション制作会社タツノコプロのマークでもおなじみですよね。
よーく観察してみると、魚らしくヒレやエラもちゃんとあり、背ビレと胸ビレを使って一生懸命に移動しています。ただ、あまり泳ぎは上手ではないので、尾ビレのかわりにある尾を海藻などに巻き付けて体を安定させているそう。
■シッポで手つなぎ。求愛のしぐさに思わずキュン!
そんな尾は求愛のシーンでも活躍します。まずオスが体をくねらせてメスにプロポーズ。メスが「OKよ」と受け入れると、お互いの尾先をつなぐように絡ませるのです。そして2匹のダンスがスタート。シッポをつないで、くるくるまわって。
このダンス中、2匹は体色まで明るい黄色や白の婚姻色に変化させます。恋はふたりをキレイにするのですね。ただ、なんとこのダンス、ペアによっては3日間にも及ぶことがあるそう!(休みつつですが……)
さあ、2匹の息が合ってきたらいよいよ産卵。なんとこの先が面白く、メスが卵をオスに渡してしまうのです。
■え!パパが妊娠?おなかが大きくなるのはオスなんです
オスのおなかには育児嚢(のう)というカンガルーのポケットのような器官があり、メスはこのオスのポケットに卵を落とし入れます。2匹がおなかの辺りを合わせる姿はまるでハート型。愛らしく見えますが当人たちには生命を受け渡す真剣勝負。
うまく卵が入ったらオスはポケットの口を閉じ、体を揺らして受精します。オスのおなかは大きくふくらみ、まるでマタニティママのよう。数週間後、いよいよ出産。オスのおなかから小さくてかわいいタツノオトシゴたちが産まれ、海中にデビューします。
ちなみにタツノオトシゴのペアは一夫一婦制で生涯に相手はひとりとも言われています。その夫婦仲の良さにあやかって、古来より「夫婦円満」「子宝」の縁起物としてお守りのシンボルにもされているんですよ。
■ドラゴン派、馬派、ご当地名もいろいろありまして
英名ではシーホース(海馬)と呼ばれていますが、日本では竜に赤ちゃんがいたらこんな姿なんじゃないか?という由来で「竜の落とし子」と名付けられたという和名。また、卵ではなく、オスのおなかで育った稚魚が一匹ずつ産み落とされることから「落とし子」と呼ばれたという説も。
日本の地方名の呼び名もさまざま。タツノコ、タツガシラといった竜派とウマウオ、カイバといった馬派に大きく別れています。中にはリュウグウノコマ(竜宮の駒)と竜と馬が一緒になっちゃったような名前もあったり。きっと、名付けた人々もこの不思議な生き物を魚とは思えなかったのでしょう。
江戸時代の儒者、貝原益軒の著作「大和本草」には「海馬 海中に生ずる小虫なり、頭は馬のごとく、腰はエビのごとく、尾はトカゲに似たり」と書かれています。もう謎の生き物ですね。
■さらにいろいろ。イトコもいるの?親せきも個性派ぞろいでございます
世界にたくさん種類のいるタツノオトシゴとその仲間。体の色から種名をつけられた種もいるのですが、和名は「クロウミウマ」なのに英名ではなぜか「イエローシーホース」。黒なのに黄?これ実は、環境によって身を守るために体色を変える、彼らの習性を知らずにつけてしまった名前のようです。
同じヨウジウオの仲間には「タツノイトコ」がいます。さらに冗談のような「タツノハトコ」まで!オーストラリアの海には海藻に擬態した姿の「リーフィーシードラゴン(葉のような海の竜)」なんて変わり種までいるんです。
■会いたくなったら、そして飼いたくなったらコチラへどうぞ!
どうです?今まで水族館で見かけても素通りしていたタツノオトシゴに興味が湧いてきませんか。もし、答えがYesなら南九州の「タツノオトシゴ ハウス」をぜひ訪れてみて!ここは野生種保護を目的とした日本で唯一のタツノオトシゴの観光養殖場。ゆったり泳ぐ姿に癒されるのも良し、飼育の相談にも乗ってくれますよ。
タツノオトシゴ ハウス(シーホースウェイズ株式会社)
鹿児島県南九州市頴娃町別府5202-2
http://www.seahorseways.com/
(文・イラスト/新岡薫・エトブン社)
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