11月8日に任天堂から発売されたニンテンドー3DS用ゲームソフト「とびだせ どうぶつの森」が、発売2週間で100万本を販売するなど大ヒットを記録している。これまで「どうぶつの森」を遊んだことのなかった筆者だが、ここまでヒットのニュースを頻繁に目にすると、さすがに気になってくる。
発売されたばかりの「どうぶつの森」は総合2位!TSUTAYAゲーム年間ランキング
ちなみに同シリーズのヒットは今に始まったことではなく、2005年に発売された「おいでよ どうぶつの森」は、なんと500万本を突破するモンスターソフトとなった。いくら現代人が癒しを求めているからといっても、ほのぼのと毎日を暮らすだけのゲームがなぜそこまでヒットするのか。
……もしかして、“ほのぼのと毎日を暮らすだけのゲーム”というのは筆者の思い込みなんじゃないか?
気になって仕方ないので、最新作「とびだせ どうぶつの森」を遊んでみることにした。
パッケージソフトは軒並み売り切れているので、今回はダウンロード版を購入する。「どうぶつの森」は長く遊べるゲームだと聞いているので、むしろソフトを入れ替えなくてもいつでも起動できるダウンロード版の方がいいだろうという判断もあった。
このダウンロードの段階でまず驚かされた。とにかくゲームのデータ容量が多いのだ。筆者は他にも色々とゲームをダウンロードで購入しているが、「とびだせ どうぶつの森」はトップクラスに重い。そんな雰囲気はまったくないゲームだというのに、いったいどういうことなんだ……。
そんなことを思いつつ、いよいよゲームを起動する。自分の名前を決めると、さっそくゲームの舞台となる「村」に連れていかれた。そのまま何だかよくわからないうちに、どうぶつたちが過ごす村の村長になってしまう。完全によそ者なんだけど、いきなり村長になってもいいものなのだろうか。
さほど大きくない村ではあるが、その中には様々なお店や施設がある。役場や博物館、商店に不動産屋、リサイクルショップetc...
しかし、役場が用意してくれた自分の家はテントであった。仮にも村長なのに!
そんなこんなで、テント暮らしが始まったわけだが、ここから筆者は「とびだせ どうぶつの森」が単なるほのぼの癒し系ゲームではなく、かなり現実路線のリアルなゲームであることを嫌というほど思い知ることになった。
まず、テント暮らしを脱するのに不動産屋で家を建ててもらうのだが、これに何万ベル(ベルはこのゲームの通貨)というお金がかかるのである。もちろん最初はそんな大金持っていないので、頭金だけ支払って建ててもらい、あとは少しずつローンを返済していくのだ。まさかほのぼの癒し系ゲームだと思っていた本作で、「頭金」なんて言葉を目にするなんて……(さらに付け加えると、ローンの返済は不動産屋ではなく、郵便局のATMから振りむよう指示される。細かいところまでリアルだ)。
ちなみにこの不動産屋、返済が終わるとさらなる増築を提案してきて、もちろんこれも別途お金がかかる。増築がいつまで続くのかはわからないが、どうやらまだまだ借金の返済からは逃れられないようだ。
返済のためのお金については、村に落ちている草花や海岸の貝殻などを拾い、リサイクルショップや商店で売って稼いでいく。木を揺すると果物が落ちてくるので、これも売るとお金になる。村を回っては落ちているものを拾い、売りさばいて少しずつお金を貯める日々……あれっ、村に来た最初の頃はバカンス気分だったけど、これって立派な「労働」じゃない?
そうやってお金を稼いではローンを返済するという生活を続けてしばらく経つと、村の条例を作ったり、公共事業を行ったりできるようになり、一気に村長らしい生活を送れるようになる。「条例」とか「公共事業」とか、やっぱり出てくる単語がいちいちリアルである。
この時点で単なる子ども向けのゲームでないことを痛感したわけだが、まだまだこんなものではない。なんとこの村ではカブを購入して、相場を見ながら売買して儲けることができるのだ。カブといっても見た目は野菜の「カブ」である。だが、やっていることは現実の株式売買と何ら変わらない。
……と、ここまでざっとプレイしてみただけでも、「とびだせ どうぶつの森」が事前に想像していたゲームとは違っていたことがわかった。
もっとも、グラフィックは絵本のような雰囲気だし、村の住人である動物たちはみんなかわいいし、これといって大きな事件が起こるわけでもない。基本的なコンセプトはやはりほのぼの癒し系ゲームである。
一方で、膨大な量のアイテムを収集したり、村を思い通りに発展させていくといったやりこみ要素が、豊富に用意されていることも見逃せない。あの長い長いダウンロード時間は伊達ではないのだ。
ほのぼのした癒し系の世界観と、現代社会を思わせるリアルなシステム、そしてゲーマーも納得のやりこみ要素――この3つが絶妙にブレンドされたゲームが「どうぶつの森」の正体だったのだ。なるほど、この奥深さ、売れて当然である。(文:山田井ユウキ)
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……もしかして、“ほのぼのと毎日を暮らすだけのゲーム”というのは筆者の思い込みなんじゃないか?
気になって仕方ないので、最新作「とびだせ どうぶつの森」を遊んでみることにした。
パッケージソフトは軒並み売り切れているので、今回はダウンロード版を購入する。「どうぶつの森」は長く遊べるゲームだと聞いているので、むしろソフトを入れ替えなくてもいつでも起動できるダウンロード版の方がいいだろうという判断もあった。
このダウンロードの段階でまず驚かされた。とにかくゲームのデータ容量が多いのだ。筆者は他にも色々とゲームをダウンロードで購入しているが、「とびだせ どうぶつの森」はトップクラスに重い。そんな雰囲気はまったくないゲームだというのに、いったいどういうことなんだ……。
そんなことを思いつつ、いよいよゲームを起動する。自分の名前を決めると、さっそくゲームの舞台となる「村」に連れていかれた。そのまま何だかよくわからないうちに、どうぶつたちが過ごす村の村長になってしまう。完全によそ者なんだけど、いきなり村長になってもいいものなのだろうか。
さほど大きくない村ではあるが、その中には様々なお店や施設がある。役場や博物館、商店に不動産屋、リサイクルショップetc...
しかし、役場が用意してくれた自分の家はテントであった。仮にも村長なのに!
そんなこんなで、テント暮らしが始まったわけだが、ここから筆者は「とびだせ どうぶつの森」が単なるほのぼの癒し系ゲームではなく、かなり現実路線のリアルなゲームであることを嫌というほど思い知ることになった。
まず、テント暮らしを脱するのに不動産屋で家を建ててもらうのだが、これに何万ベル(ベルはこのゲームの通貨)というお金がかかるのである。もちろん最初はそんな大金持っていないので、頭金だけ支払って建ててもらい、あとは少しずつローンを返済していくのだ。まさかほのぼの癒し系ゲームだと思っていた本作で、「頭金」なんて言葉を目にするなんて……(さらに付け加えると、ローンの返済は不動産屋ではなく、郵便局のATMから振りむよう指示される。細かいところまでリアルだ)。
ちなみにこの不動産屋、返済が終わるとさらなる増築を提案してきて、もちろんこれも別途お金がかかる。増築がいつまで続くのかはわからないが、どうやらまだまだ借金の返済からは逃れられないようだ。
返済のためのお金については、村に落ちている草花や海岸の貝殻などを拾い、リサイクルショップや商店で売って稼いでいく。木を揺すると果物が落ちてくるので、これも売るとお金になる。村を回っては落ちているものを拾い、売りさばいて少しずつお金を貯める日々……あれっ、村に来た最初の頃はバカンス気分だったけど、これって立派な「労働」じゃない?
そうやってお金を稼いではローンを返済するという生活を続けてしばらく経つと、村の条例を作ったり、公共事業を行ったりできるようになり、一気に村長らしい生活を送れるようになる。「条例」とか「公共事業」とか、やっぱり出てくる単語がいちいちリアルである。
この時点で単なる子ども向けのゲームでないことを痛感したわけだが、まだまだこんなものではない。なんとこの村ではカブを購入して、相場を見ながら売買して儲けることができるのだ。カブといっても見た目は野菜の「カブ」である。だが、やっていることは現実の株式売買と何ら変わらない。
……と、ここまでざっとプレイしてみただけでも、「とびだせ どうぶつの森」が事前に想像していたゲームとは違っていたことがわかった。
もっとも、グラフィックは絵本のような雰囲気だし、村の住人である動物たちはみんなかわいいし、これといって大きな事件が起こるわけでもない。基本的なコンセプトはやはりほのぼの癒し系ゲームである。
一方で、膨大な量のアイテムを収集したり、村を思い通りに発展させていくといったやりこみ要素が、豊富に用意されていることも見逃せない。あの長い長いダウンロード時間は伊達ではないのだ。
ほのぼのした癒し系の世界観と、現代社会を思わせるリアルなシステム、そしてゲーマーも納得のやりこみ要素――この3つが絶妙にブレンドされたゲームが「どうぶつの森」の正体だったのだ。なるほど、この奥深さ、売れて当然である。(文:山田井ユウキ)
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