ビッグ錠の『包丁人味平』から『美味しんぼ』、『孤独のグルメ』にいたるまで、さまざまなスタイルの作品が登場しているグルメマンガ。定番メニューに限らず、最近ではトーストやチェーン店の牛丼まで幅広い食が扱われる傾向にある。そこで今回は、あえて超ド級の有名作品を除外し、現在連載中(2012年中の連載終了も含む)グルメマンガの中で気になるものを男性296名に聞いた。「今、気になるグルメマンガ」の第1位は!?
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Q.2012年連載作品の中で注目のグルメマンガは?(複数回答)
1位 『花のズボラ飯』 18.2%
2位 『深夜食堂』 17.2%
3位 『極道めし』 12.8%
4位 『らーめん才遊記』 10.1%
5位 『駅弁ひとり旅』 9.1%
6位 『めしばな刑事タチバナ』 8.1%
7位 『きのう何食べた?』 7.1%
7位 『信長のシェフ』 7.1%
9位 『おせん』 5.4%
9位 『酒のほそ道』 5.4%
1位は『孤独のグルメ』で知られる久住昌之原作の『花のズボラ飯』。女性マンガ誌で連載されており『このマンガがすごい!』2012年版オンナ編第1位に輝いた作品だが、男性編ランキングで堂々の1位を獲得。主人公の花が作るズボラ飯は「実際に作ると簡単でおいしい」(25歳/金属・鉄鋼・化学/技術職)という評価のとおり、生活に密着した日常食の魅力を見せつける久住昌之の実力は健在だ。また、花が食べる瞬間の官能的な表情は男性読者にも好評で、「主人公がかわいくて面白い」(27歳/その他/技術職)という声も寄せられている。2012年10月からは倉科カナ主演で実写ドラマがスタートしたこともあり、「ドラマ化されたことで気になった」(44歳/アパレル・繊維/事務系専門職)という人も少なくない。
僅差で2位に選ばれたのは、第55回小学館漫画賞を受賞した『深夜食堂』。赤ウインナー、ポテトサラダといったメニューにまつわるエピソードに、ときにホロリ、ときにニヤリとさせられる。「派手な感じはないが、地味ながらの味わいがある」(30歳/金融・証券/営業職)作品だ。「人間模様が面白い」(39歳/自動車関連/技術職)という声にもあるとおり、ゲイやストリッパー、ヤクザなどさまざまな背景を持つ登場人物も魅力にあふれている。1位同様、この作品もドラマ化されており、「ドラマを見て面白いと思った」(37歳/小売店/販売職・サービス系)という意見も多数寄せられていた。
3位は残念ながら2012年で連載が終了してしまった『極道めし』。刑務所の受刑者が「一番うまかった食い物」を語るという設定だけあって、「何気ない料理をうまそうに感じさせるエピソードがいい」(34歳/その他/その他)という意見が大部分を占めた。ラーメン好きに支持された4位の『らーめん才遊記』は、前作『ラーメン発見伝』と同様にラーメン王・石神秀幸が原作協力にクレジットされた作品。「主人公の思いつくラーメンが面白い」(30歳/医療・福祉/専門職)というように、独創的でおいしそうなラーメンは読者をワクワクさせてくれる。駅弁好きはもちろん、鉄道ファンからも支持されたのは5位の『駅弁ひとり旅』。紀行マンガでもあるため、「旅情を感じる」(48歳/ソフトウェア/技術職)という声も。
■総評
女性マンガ誌での連載かつTHE少女マンガな絵柄であるにもかかわらず、男性編1位を獲得した『花のズボラ飯』は立派。『孤独のグルメ』の作画、谷口ジローとは打って変わった水沢悦子との異色の組み合わせが功を奏したともいえる。2位の『深夜食堂』、3位の『極道めし』では、いわゆる成功者ではなく世知辛い世の中で失敗したり、悩んだりしている者が多く取り上げられる。彼らが欲するのは決して贅沢な食ではなく、温かさや懐かしさを感じさせる日常食であり、食とは人にとって大切な思い出の一部になっていることを深く実感させられる作品と言えるだろう。「日常の食文化」という意味で、個人的に最も注目している作品は6位の『めしばな刑事タチバナ』だ。チェーン店の牛丼やカレー、インスタントラーメンのうんちくを、熱く、真面目に語る様子は、あまりにバカバカしく、面白く、その知識の深さに敬服してしまう。読んでいると、それらをに対する食欲が抑えられなくなるので注意してほしい。
(文・塩澤真樹/C-side)
調査時期:2012年9月20日~28日
調査対象:マイナビ ニュース会員
調査数:男性296名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
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