お金の「そうなんだ!」「本当?」といったいろんな知識をファイナンシャル・プランナーの筆者が紹介します。今回は「源泉徴収票」について。年末になると会社から渡される小さな紙切れですが、マネーの重要情報が詰まっています。その読み方のキホンをお教えします。
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■会社員が12月になると渡される小さな紙!実はこれ重要書類です
12月に入ると、会社から小さなぺらぺらの紙が渡されます。どうやら税金に関する書類らしいということは分かりますが、あまりにも小さく、説明もなく渡されることが多いため、ほとんどの会社員がどこかにしまって、行方不明としてしまう書類です。
その書類、今年は捨ててはいけません。
実は重要な情報が詰まっている書類です。お金のやりくりについて真剣に考える人にとっても欠かせない情報が詰まっています。
これからもらう人はぜひ、今年はじっくりチェックしてみてください。
■会社員の納税額が決定されるしくみ
普通の会社員の場合、11月になる頃、会社の人事・総務部から、生命保険や共済に入っていた場合はその証明書類を提出するように言われます。いわれてみると、ちょうどその頃金融機関から書類が届いているはずで、中に入っている書類を会社に提出しているはずです(控除の対象となる保険契約等がある場合)。
また、家族状況について用紙に記入して提出するように言われます。なんでそんなことを聞かれるのかと思いつつ、同居人や子の有無、扶養の状況などを記入した書類を提出しているはずです。
これは、「年末調整」という形で納税額の精算を行うため、税金の計算に必要な情報を収集する仕組みです。納税額は年収に直接税率を計算するのではなく、予め認められたコストについては税金の計算から省くことができます。例えばシングルよりも子どものいる人のほうが納税額を少なくするためには、子どもがいることを入力しなければなりません。そのために必要な自己申告なのです。
ところで、所得税は毎月の給料から引かれているのになぜ精算をするかというと、実は毎月引かれている税金額は概算であり、ちょっと多めに引かれていることが多いからです。後から追加を求められるより、精算して返してもらえるほうが嬉しいから、というより、税務署が取りっぱぐれのないようにする仕組みといえます。(確定申告という仕組みも、取られ過ぎた税金について精算して返してもらう人のほうが多かったりします)
■1年間の仕事ぶりと税金をいくら払ったか確認してみよう
そして、精算が終了した後、皆さんに渡されるのが「源泉徴収票」です。ここには「今年1年間の年収(税金等を引かれる前の金額)」「1年間に払った社会保険料の総額」「1年間に払った所得税額」などが記されています。
一番高い金額があなたの年収です。通常、左上の「支払金額」がこれにあたります。私たちは1年間の労働によりこれだけのお金を稼いだということになります。
右上の「源泉徴収税額」が1年間に払った所得税の金額で、中央やや右側あたりにある「社会保険料等の金額」が1年間に払った厚生年金保険料や健康保険料の金額です。
つまり、この小さな紙切れ一枚に「1年間の仕事ぶり」と「国に払った金額」の情報が詰まっているわけです(住民税はここに含まれていないので給与明細で確認してください)。
■年末調整が終了すると還付金が振り込まれる
さて、源泉徴収票が個人に配られた頃、給与振込口座に数万円ほどの振り込みがあったりします。これを還付金といいます。「源泉徴収票」に書かれた確定版の所得税額と、毎月引き落としていた仮の納税額を計算し、差分を返してくれるものです。
ときどき「年末に数万円会社がくれるのがうれしい」「ちょっとしたボーナスだよね」と喜んでいる人がいますが、これは誤解です。なぜなら「払いすぎを返してもらった」だけのことだからです。
人によっては、年末調整時に不足が生じて、追加納付を求められることがあります。この場合、12月の給与振込の際に少し多く引かれることになります。
「本当はもっと還付してもらえるはずだった」というような人は、来年の確定申告で書類提出すると国から直接還付してもらうことができます(例えば年末調整終了後に子どもが生まれた場合、初めて家を買った最初の年、医療費がかさんだ年など)。そのときもこの源泉徴収票が必要になりますので、必ず保存しておきましょう。
■マネープランの基礎情報として活用したい
ところで、この源泉徴収票の情報は、マネープランにも活かしていきたいものです。例えば、自分の年収と1年間の貯蓄額を割り算すれば、この1年間での貯蓄率が分かります。貯蓄率はできれば10%以上を常時キープしておきたいところですが、自分がどれだけがんばって貯金できているかのチェックに使えます。
また、昨年の源泉徴収票と今年の源泉徴収票を比較すれば、年収の推移も読み取れます。年収の増減は残業代や諸手当にも影響しますが、増減の要因を分析したり、今後のキャリアアップのための判断材料として現状把握する貴重なデータにもなります。
小さな紙切れ一つにいろいろな情報が満載なのが「源泉徴収票」です。今年は源泉徴収票をじっくり検証してみてください。
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12月に入ると、会社から小さなぺらぺらの紙が渡されます。どうやら税金に関する書類らしいということは分かりますが、あまりにも小さく、説明もなく渡されることが多いため、ほとんどの会社員がどこかにしまって、行方不明としてしまう書類です。
その書類、今年は捨ててはいけません。
実は重要な情報が詰まっている書類です。お金のやりくりについて真剣に考える人にとっても欠かせない情報が詰まっています。
これからもらう人はぜひ、今年はじっくりチェックしてみてください。
■会社員の納税額が決定されるしくみ
普通の会社員の場合、11月になる頃、会社の人事・総務部から、生命保険や共済に入っていた場合はその証明書類を提出するように言われます。いわれてみると、ちょうどその頃金融機関から書類が届いているはずで、中に入っている書類を会社に提出しているはずです(控除の対象となる保険契約等がある場合)。
また、家族状況について用紙に記入して提出するように言われます。なんでそんなことを聞かれるのかと思いつつ、同居人や子の有無、扶養の状況などを記入した書類を提出しているはずです。
これは、「年末調整」という形で納税額の精算を行うため、税金の計算に必要な情報を収集する仕組みです。納税額は年収に直接税率を計算するのではなく、予め認められたコストについては税金の計算から省くことができます。例えばシングルよりも子どものいる人のほうが納税額を少なくするためには、子どもがいることを入力しなければなりません。そのために必要な自己申告なのです。
ところで、所得税は毎月の給料から引かれているのになぜ精算をするかというと、実は毎月引かれている税金額は概算であり、ちょっと多めに引かれていることが多いからです。後から追加を求められるより、精算して返してもらえるほうが嬉しいから、というより、税務署が取りっぱぐれのないようにする仕組みといえます。(確定申告という仕組みも、取られ過ぎた税金について精算して返してもらう人のほうが多かったりします)
■1年間の仕事ぶりと税金をいくら払ったか確認してみよう
そして、精算が終了した後、皆さんに渡されるのが「源泉徴収票」です。ここには「今年1年間の年収(税金等を引かれる前の金額)」「1年間に払った社会保険料の総額」「1年間に払った所得税額」などが記されています。
一番高い金額があなたの年収です。通常、左上の「支払金額」がこれにあたります。私たちは1年間の労働によりこれだけのお金を稼いだということになります。
右上の「源泉徴収税額」が1年間に払った所得税の金額で、中央やや右側あたりにある「社会保険料等の金額」が1年間に払った厚生年金保険料や健康保険料の金額です。
つまり、この小さな紙切れ一枚に「1年間の仕事ぶり」と「国に払った金額」の情報が詰まっているわけです(住民税はここに含まれていないので給与明細で確認してください)。
■年末調整が終了すると還付金が振り込まれる
さて、源泉徴収票が個人に配られた頃、給与振込口座に数万円ほどの振り込みがあったりします。これを還付金といいます。「源泉徴収票」に書かれた確定版の所得税額と、毎月引き落としていた仮の納税額を計算し、差分を返してくれるものです。
ときどき「年末に数万円会社がくれるのがうれしい」「ちょっとしたボーナスだよね」と喜んでいる人がいますが、これは誤解です。なぜなら「払いすぎを返してもらった」だけのことだからです。
人によっては、年末調整時に不足が生じて、追加納付を求められることがあります。この場合、12月の給与振込の際に少し多く引かれることになります。
「本当はもっと還付してもらえるはずだった」というような人は、来年の確定申告で書類提出すると国から直接還付してもらうことができます(例えば年末調整終了後に子どもが生まれた場合、初めて家を買った最初の年、医療費がかさんだ年など)。そのときもこの源泉徴収票が必要になりますので、必ず保存しておきましょう。
■マネープランの基礎情報として活用したい
ところで、この源泉徴収票の情報は、マネープランにも活かしていきたいものです。例えば、自分の年収と1年間の貯蓄額を割り算すれば、この1年間での貯蓄率が分かります。貯蓄率はできれば10%以上を常時キープしておきたいところですが、自分がどれだけがんばって貯金できているかのチェックに使えます。
また、昨年の源泉徴収票と今年の源泉徴収票を比較すれば、年収の推移も読み取れます。年収の増減は残業代や諸手当にも影響しますが、増減の要因を分析したり、今後のキャリアアップのための判断材料として現状把握する貴重なデータにもなります。
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