最近の若者は何に対しても「離れて」いっているようで(笑)。「若者のバイク離れ」なんてことも言われます。本当にそうなのでしょうか。本田技研工業株式会社、広報部の高山正之さんにお話を伺いました。
■オートバイユーザーのプロファイルは!?
――不躾(ぶしつけ)な質問で大変恐縮ですが「若者のバイク離れ」なんて言われますが、これは本当のことでしょうか。
高山さん オートバイユーザーの平均年齢が年々上がってきているのは事実ですね。これは弊社だけのことではなくて、『一般社団法人 日本自動車工業会』(JAMA)のまとめたデータでも明らかです。
――どのようなデータになっているのでしょうか?
高山さん 2010年4月8日に公表されたデータによりますと、男女とも「10代」「20代」の比率が減少し、特に女性では「20代」の構成比は前回(07年度)の調査と比べて半減。「50代以上」が増加し、ユーザー平均年齢は全体で47.4歳と高齢化が進んでいます。
――平均年齢が47.4歳というのはかなり高いですね。若い人がオートバイに触れる機会が減っているのでしょうか。
高山さん そうですね。昔と比べると減ってるでしょうね。私たちの若い時は16歳になったら免許を取って、早くオートバイに乗りたいという気持ちがあったものですが。今の若い人にはそういう気持ちはあまりないように思います。
――高校になると必ずバイクに乗ってる同級生が1人はいて、その影響で興味持つ人間が増えたりしましたが……。
高山さん 今は、その最初の1人がいない状況ですよね(笑)。
――何が原因だと思われますか。
高山さん 1970年代末から行われているんですが、「3ない運動」というのがありましてね。オートバイを「買わない」「乗せない」「免許を取らせない」という内容なんですが。この運動がいまだに影響していると思います。
――それはまだやってるんですか?
高山さん 1970年代に高校生のバイク事故が増加したことがありましてね。それで始められた運動なんです。現在は、見直しも進んでいますが、今でも効力がありますね。通学に不便な地域に住んでいる学生さんがいたりするので、そういう場合にはオートバイがないと困ったりしますね。親御さんや、先生方、PTAのみなさんに、オートバイに関して理解を頂くのはなかなか難しいです。弊社だけでできることではありませんので、日本自動車工業会をはじめ、二輪業界が協力してアピールを行っていますが。
■オートバイは全世界規模では売れてます!
――現在のオートバイの国内での出荷台数はどうなっていますか?
高山さん 国内4全メーカーで国内市場では約40万5,000台です。弊社ホンダだけですと約22万台になります。
――過半数はホンダさんなんですね。オートバイマーケットが一番好調だった時代はどのくらいの規模だったのでしょうか。
高山さん そうですね。ピークは1981年から82年にかけてでしょうか。1983年の前半まではピークでしたか。日本国内で320万台が製造されています。
――すごい数ですね。
高山さん ただ注意してほしいんです。これは製造台数であって、この数が街に走っていたわけじゃないですよ。
――現在は国内40万台規模ということですが、海外ではどうなのでしょうか?
高山さん 弊社の数字で言いますと、昨年1年間の数字で海外では1,600万台を販売しています。
――それはスゴイ数ですね。売れてるじゃないですか。国内の約80倍ですね(笑)!
高山さん そういうことになりますね(笑)。
――海外で最も大きな消費地はどこなんでしょうか?
高山さん 中国とインドが1,350万台でトップ、続いて800万台のインドネシアです。*
v *……これは本田技研工業だけの数字ではなく全メーカーで販売された台数です。
――インドが最大なんですか。これは意外ですね。
高山さん その国々の交通インフラの整備度合い、また平均年収なども販売に大きく影響しますので。4輪をみんなが買えるほど平均年収の多くない国では、やはり二輪車の方が好まれますし。国の発展に従って何が売れるかは変わっていきます。
■オートバイをアピールする方法は!?
――若者にオートバイの魅力を伝えてアピールするのは難しいことですか?
高山さん そうですね(笑)、難しいですね。例えば40歳代以上の方々にアピールするのはそれほど難しいとは思ってないんですけれども。大人の男性向けの趣味の本が多くありますので、年代に応じたアプローチでは、媒体も明確です。若い人に向けてというのは決定打が見つからないですよね。
――ホンダさんではどのような試みをされていますか。
高山さん まずは、若い人たちに共感を持っていただける商品の提供です。そして、商品の知名度をあげるために、好感度の高い芸能人の方を起用することも。例えば『クレアスクーピー』というスクーターでは『モーニング娘。』の方々を起用したり。これは若い女性に乗ってほしい商品でしたので。また、鈴鹿サーキットと栃木県のツインリンクもてぎでは、子供向けに開発した電動バイクの『キッズバイク』で、バイクの楽しさを体験していただくプログラムがあります。各地のさまざまなイベントでも、キッズバイクを体験できるプログラムもあります。取り組みは広範囲ですね。
――現在展開されているキャンペーンはありますか?
高山さん 『ジョルノ』という50ccのスクーターがあります。10代、20代の若い女性に使っていただきたい商品なんです。このジョルノは『わんおふ -one off-』というアニメ作品とコラボをしています。登場人物の女子高生がジョルノに乗って生活するんですけどね。自立心が高く、アクティブな若者にぴったりなのがバイクだと思います。
――いろいろ工夫されてるんですね。
高山さん オートバイは生活に有効な移動手段で、かつては若い人にとってプライオリティーの高い買い物だったと思うんですが、今ではオートバイよりもパソコン、モバイル端末、携帯電話などの方がプライオリティーが高くなってますよね。そういった志向の時代にオートバイをいかにアピールしていくか。これはとても難しい問題です。しかしながら、バイクは友達とじかにコミュニケーションを図ることができ、行動範囲も格段に広がります。新しい世界を発見できる貴重なツールだと思いますので、粘り強くPRしていきます。
ユーザープロファイルだけ見ると、国内では「若者のオートバイ離れ」というのは確かなようです。ただ、それも今に始まったことではないですし、また海外では国内の数十倍の規模で需要があるということがわかりました。
この記事を読んでいるあなたは「オートバイに乗りたい」と思いますか?
(高橋モータース@dcp)
アニメ『わんおふ -one off-』の公式サイト
http://anime-oneoff.info/
【関連リンク】
これだけは知っておいて!ポーツ自転車を始めるイロハ
ほんのちょっとだけ……話を盛ってしまった経験
あれは痛かった話
■オートバイユーザーのプロファイルは!?
――不躾(ぶしつけ)な質問で大変恐縮ですが「若者のバイク離れ」なんて言われますが、これは本当のことでしょうか。
高山さん オートバイユーザーの平均年齢が年々上がってきているのは事実ですね。これは弊社だけのことではなくて、『一般社団法人 日本自動車工業会』(JAMA)のまとめたデータでも明らかです。
――どのようなデータになっているのでしょうか?
高山さん 2010年4月8日に公表されたデータによりますと、男女とも「10代」「20代」の比率が減少し、特に女性では「20代」の構成比は前回(07年度)の調査と比べて半減。「50代以上」が増加し、ユーザー平均年齢は全体で47.4歳と高齢化が進んでいます。
――平均年齢が47.4歳というのはかなり高いですね。若い人がオートバイに触れる機会が減っているのでしょうか。
高山さん そうですね。昔と比べると減ってるでしょうね。私たちの若い時は16歳になったら免許を取って、早くオートバイに乗りたいという気持ちがあったものですが。今の若い人にはそういう気持ちはあまりないように思います。
――高校になると必ずバイクに乗ってる同級生が1人はいて、その影響で興味持つ人間が増えたりしましたが……。
高山さん 今は、その最初の1人がいない状況ですよね(笑)。
――何が原因だと思われますか。
高山さん 1970年代末から行われているんですが、「3ない運動」というのがありましてね。オートバイを「買わない」「乗せない」「免許を取らせない」という内容なんですが。この運動がいまだに影響していると思います。
――それはまだやってるんですか?
高山さん 1970年代に高校生のバイク事故が増加したことがありましてね。それで始められた運動なんです。現在は、見直しも進んでいますが、今でも効力がありますね。通学に不便な地域に住んでいる学生さんがいたりするので、そういう場合にはオートバイがないと困ったりしますね。親御さんや、先生方、PTAのみなさんに、オートバイに関して理解を頂くのはなかなか難しいです。弊社だけでできることではありませんので、日本自動車工業会をはじめ、二輪業界が協力してアピールを行っていますが。
■オートバイは全世界規模では売れてます!
――現在のオートバイの国内での出荷台数はどうなっていますか?
高山さん 国内4全メーカーで国内市場では約40万5,000台です。弊社ホンダだけですと約22万台になります。
――過半数はホンダさんなんですね。オートバイマーケットが一番好調だった時代はどのくらいの規模だったのでしょうか。
高山さん そうですね。ピークは1981年から82年にかけてでしょうか。1983年の前半まではピークでしたか。日本国内で320万台が製造されています。
――すごい数ですね。
高山さん ただ注意してほしいんです。これは製造台数であって、この数が街に走っていたわけじゃないですよ。
――現在は国内40万台規模ということですが、海外ではどうなのでしょうか?
高山さん 弊社の数字で言いますと、昨年1年間の数字で海外では1,600万台を販売しています。
――それはスゴイ数ですね。売れてるじゃないですか。国内の約80倍ですね(笑)!
高山さん そういうことになりますね(笑)。
――海外で最も大きな消費地はどこなんでしょうか?
高山さん 中国とインドが1,350万台でトップ、続いて800万台のインドネシアです。*
v *……これは本田技研工業だけの数字ではなく全メーカーで販売された台数です。
――インドが最大なんですか。これは意外ですね。
高山さん その国々の交通インフラの整備度合い、また平均年収なども販売に大きく影響しますので。4輪をみんなが買えるほど平均年収の多くない国では、やはり二輪車の方が好まれますし。国の発展に従って何が売れるかは変わっていきます。
■オートバイをアピールする方法は!?
――若者にオートバイの魅力を伝えてアピールするのは難しいことですか?
高山さん そうですね(笑)、難しいですね。例えば40歳代以上の方々にアピールするのはそれほど難しいとは思ってないんですけれども。大人の男性向けの趣味の本が多くありますので、年代に応じたアプローチでは、媒体も明確です。若い人に向けてというのは決定打が見つからないですよね。
――ホンダさんではどのような試みをされていますか。
高山さん まずは、若い人たちに共感を持っていただける商品の提供です。そして、商品の知名度をあげるために、好感度の高い芸能人の方を起用することも。例えば『クレアスクーピー』というスクーターでは『モーニング娘。』の方々を起用したり。これは若い女性に乗ってほしい商品でしたので。また、鈴鹿サーキットと栃木県のツインリンクもてぎでは、子供向けに開発した電動バイクの『キッズバイク』で、バイクの楽しさを体験していただくプログラムがあります。各地のさまざまなイベントでも、キッズバイクを体験できるプログラムもあります。取り組みは広範囲ですね。
――現在展開されているキャンペーンはありますか?
高山さん 『ジョルノ』という50ccのスクーターがあります。10代、20代の若い女性に使っていただきたい商品なんです。このジョルノは『わんおふ -one off-』というアニメ作品とコラボをしています。登場人物の女子高生がジョルノに乗って生活するんですけどね。自立心が高く、アクティブな若者にぴったりなのがバイクだと思います。
――いろいろ工夫されてるんですね。
高山さん オートバイは生活に有効な移動手段で、かつては若い人にとってプライオリティーの高い買い物だったと思うんですが、今ではオートバイよりもパソコン、モバイル端末、携帯電話などの方がプライオリティーが高くなってますよね。そういった志向の時代にオートバイをいかにアピールしていくか。これはとても難しい問題です。しかしながら、バイクは友達とじかにコミュニケーションを図ることができ、行動範囲も格段に広がります。新しい世界を発見できる貴重なツールだと思いますので、粘り強くPRしていきます。
ユーザープロファイルだけ見ると、国内では「若者のオートバイ離れ」というのは確かなようです。ただ、それも今に始まったことではないですし、また海外では国内の数十倍の規模で需要があるということがわかりました。
この記事を読んでいるあなたは「オートバイに乗りたい」と思いますか?
(高橋モータース@dcp)
アニメ『わんおふ -one off-』の公式サイト
http://anime-oneoff.info/
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