連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第13週「ビートルズがやって来る」第78回 7月1日(土)放送より。
脚本:岡田惠和 演出:田中正
77話はこんな話
宗男(峯田和伸)はみね子(有村架純)を連れて、父・実(沢村一樹)が目撃された商店街に行くと、大声で叫び出す。
「ロックンロールだっぺ」と威勢の良い宗男だが、みね子と部屋で向き合ってしゃべっている時、ずっと手を組んで、親指を動かしている。その落ち着きない仕草を見ると、繊細な人なんだろうなと思う。
宗男は、みね子を伴って、お父さんが目撃された商店街へ出かける。
並んだ、みね子と宗男は、白シャツに、チェックのパンツとスカートで、おそろい感があった。
通りで、突如、叫び出す宗男。
「兄貴、兄貴、兄貴・・・」と叫びが轟く。
みね子も「お父ちゃん、お父ちゃん」と後に続く。声量は圧倒的に宗男が勝っていた。
今川焼きを買って戻ってきて、中庭で、住人みんなで(大家さん除く)食べる。
ここで、宗男が、はじめましての住人たちがどういう人か確認することで、休みで土曜日だけ見ている視聴者に、彼らを改めて紹介しているのだろうか。
「思ってたことをよ、かっこつけずに思い切り叫ぶと、なんだか疲れがとれるっぺ、それに笑えるっぺ。
それがビートルズだ。だから好きなんだおれは。なんでもいいんだ、難しいことじゃなくていいの。
腹立つことでも仕事休みたいでも あの子が好きだでも今、思っていることを叫ぶんだ(後略)」
「できるだけ遠くまで届けるために。だからでっかい音なんだ」
滔々とビートルズの歌の力を語る宗男。峯田がミュージシャンだからこその説得力だ。とりわけ、峯田は、これまでずっと、恋する気持ちが溢れちゃったとばかりに、声に出して叫んで来たミュージシャンだから。
とにかく、想いが大事。
「あいつら(ビートルズ)が東京に来たときに、一緒に東京にいる、それだけで十分なんだよ」と魂のある話をする宗男。
彼は、結果にこだわらない。
見上げると、奥茨城の空とは全然違って、星が見えない。
「でもよ若者諸君、見えねえだけで、ないわけじゃねっぞ、わかっか」
結果にこだわらないけれど、星(想い)はあるってことだ。
この台詞は、いかにも名台詞ふうなのだが、峯田が言うと、そういう虚飾が剥ぎ取られて、感情がむき出しに
聞こえてくる。台詞も、歌も、結局は“気持ち”なんだよな、と改めて思わされた。
生活が苦しいとか、漫画が売れないとか、夢がもてないとか、お父さんがみつからないとか、チケットがとれないとか、いろいろあるけど、あの空の向こうには星がある。
前向きな宗男に誘われて、空に叫び出す住人たち。大家さんも鈴子さんたちも絶対起きちゃうと思うんだが、まあ、いいとしよう。
こうやってひとつの場所にたまたま居合わせた人々は、岩手、富山、佐賀、茨城・・・といろいろな地域から各々の理由で東京に集まってきている。主人公が地域を転々とするパターンではなく、いろいろな地域から東京に集まってくるというパターンも、日本全国、ご当地ものを応援したい気持ちをもった視聴者たちを擁する朝ドラとしては良いように思う。
みね子ちゃん
宗男との会話していて、つい、涙ぐんでしまうみね子。
宗男に、島谷(竹内涼真)への想いを悟られて、「わーなにいってんの」と照れるみね子。
そのリアクションがとても自然だった。
あと、注目したいのは、有村架純、姿勢がとてもいい。
さあ、14週で、宗男はビートルズに会えるのか。
(木俣冬)
【関連リンク】
「ひよっこ」77話。4日連続視聴率20%超えの功労者はビートルズかシシド・カフカか
「ひよっこ」76話。朝ドラのヒロインが「博打で身を滅ぼす女」だったら新し過ぎる
「ひよっこ」75話「いつの時代でも若い女の子が夢中になるものはホンモノなんだよ」
「ひよっこ」74話。シシド・カフカ無双「そんな顔してるくせに秘密をもってるっていうのは罪が重いのよ」
「ひよっこ」73話。悲しいニュースがあったけれど、ハンバーグ弁当は美味しそうだった
第13週「ビートルズがやって来る」第78回 7月1日(土)放送より。
脚本:岡田惠和 演出:田中正
77話はこんな話
宗男(峯田和伸)はみね子(有村架純)を連れて、父・実(沢村一樹)が目撃された商店街に行くと、大声で叫び出す。
「ロックンロールだっぺ」と威勢の良い宗男だが、みね子と部屋で向き合ってしゃべっている時、ずっと手を組んで、親指を動かしている。その落ち着きない仕草を見ると、繊細な人なんだろうなと思う。
宗男は、みね子を伴って、お父さんが目撃された商店街へ出かける。
並んだ、みね子と宗男は、白シャツに、チェックのパンツとスカートで、おそろい感があった。
通りで、突如、叫び出す宗男。
「兄貴、兄貴、兄貴・・・」と叫びが轟く。
みね子も「お父ちゃん、お父ちゃん」と後に続く。声量は圧倒的に宗男が勝っていた。
今川焼きを買って戻ってきて、中庭で、住人みんなで(大家さん除く)食べる。
ここで、宗男が、はじめましての住人たちがどういう人か確認することで、休みで土曜日だけ見ている視聴者に、彼らを改めて紹介しているのだろうか。
「思ってたことをよ、かっこつけずに思い切り叫ぶと、なんだか疲れがとれるっぺ、それに笑えるっぺ。
それがビートルズだ。だから好きなんだおれは。なんでもいいんだ、難しいことじゃなくていいの。
腹立つことでも仕事休みたいでも あの子が好きだでも今、思っていることを叫ぶんだ(後略)」
「できるだけ遠くまで届けるために。だからでっかい音なんだ」
滔々とビートルズの歌の力を語る宗男。峯田がミュージシャンだからこその説得力だ。とりわけ、峯田は、これまでずっと、恋する気持ちが溢れちゃったとばかりに、声に出して叫んで来たミュージシャンだから。
とにかく、想いが大事。
「あいつら(ビートルズ)が東京に来たときに、一緒に東京にいる、それだけで十分なんだよ」と魂のある話をする宗男。
彼は、結果にこだわらない。
見上げると、奥茨城の空とは全然違って、星が見えない。
「でもよ若者諸君、見えねえだけで、ないわけじゃねっぞ、わかっか」
結果にこだわらないけれど、星(想い)はあるってことだ。
この台詞は、いかにも名台詞ふうなのだが、峯田が言うと、そういう虚飾が剥ぎ取られて、感情がむき出しに
聞こえてくる。台詞も、歌も、結局は“気持ち”なんだよな、と改めて思わされた。
生活が苦しいとか、漫画が売れないとか、夢がもてないとか、お父さんがみつからないとか、チケットがとれないとか、いろいろあるけど、あの空の向こうには星がある。
前向きな宗男に誘われて、空に叫び出す住人たち。大家さんも鈴子さんたちも絶対起きちゃうと思うんだが、まあ、いいとしよう。
こうやってひとつの場所にたまたま居合わせた人々は、岩手、富山、佐賀、茨城・・・といろいろな地域から各々の理由で東京に集まってきている。主人公が地域を転々とするパターンではなく、いろいろな地域から東京に集まってくるというパターンも、日本全国、ご当地ものを応援したい気持ちをもった視聴者たちを擁する朝ドラとしては良いように思う。
みね子ちゃん
宗男との会話していて、つい、涙ぐんでしまうみね子。
宗男に、島谷(竹内涼真)への想いを悟られて、「わーなにいってんの」と照れるみね子。
そのリアクションがとても自然だった。
あと、注目したいのは、有村架純、姿勢がとてもいい。
さあ、14週で、宗男はビートルズに会えるのか。
(木俣冬)
【関連リンク】
「ひよっこ」77話。4日連続視聴率20%超えの功労者はビートルズかシシド・カフカか
「ひよっこ」76話。朝ドラのヒロインが「博打で身を滅ぼす女」だったら新し過ぎる
「ひよっこ」75話「いつの時代でも若い女の子が夢中になるものはホンモノなんだよ」
「ひよっこ」74話。シシド・カフカ無双「そんな顔してるくせに秘密をもってるっていうのは罪が重いのよ」
「ひよっこ」73話。悲しいニュースがあったけれど、ハンバーグ弁当は美味しそうだった