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インドネシア映画をけん引するリリ・リザ監督、分断後のティモールを描いた新作を語る

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 インドネシア映画界を代表するリリ・リザ監督の最新作「ティモール島アタンブア39℃」が10月25日、東京・六本木ヒルズで開催中の第25回東京国際映画祭コンペティション部門で正式上映され、リザ監督、プロデューサーのミラ・レスマナが上映後のQ&Aに出席した。

【フォトギャラリー】「ティモール島アタンブア39℃」Q&Aの模様

 これまでに9本の長編作品を手がけてきたリザ監督は、「エリアナ、エリアナ」(2002)、「永遠探しの3日間」(07)、「虹の兵士たち」(08)が各映画祭で賞を受賞。同映画祭では、「アジアの風」部門で過去作を上映する特集が組まれるなど注目を集めている。リザ監督は「(同映画祭で)過去の作品も上映されており、私にとってもインドネシアにとっても特別」と感激しきり。レスマナプロデューサーは、長年にわたりタッグを組んでおり「一緒に仕事をしてもう15年。この3年間はストップしていたので、今回が新たなスタート」と笑顔をのぞかせた。

 リザ監督は、インドネシアと東ティモールの国境の町アダンブアを舞台に、バラバラになりながらも過去の傷と向き合う家族の姿を描いた。題材となった東ティモールを「1999年の分断だけではなく、インドネシアのなかでももっとも貧困な地域」と説明。そして「2011年にドキュメンタリーの撮影で赴き、難民の方と話したりいろいろとリサーチをして、別れ別れになってしまった家族の話などを聞いた。この地域は非常に美しく、強い文化を持ち、伝えるべき物語が多いと感じた」と今作の製作に踏み切った経緯を語った。

 リザ監督は会場に集まった観客から、宗教観など違いがあるインドネシアと東ティモールの間に現在も確執があるか問われると「この作品は政治的背景ではなく、あくまでも物語を描こうとしている」と前置きをしたうえで、「分断後はインドネシアに逃げることを余儀なくされ、家族と離れ離れになった人もいて、彼らの大半がアダンブアに住み着いた。5年ほど前は『東ティモールの独立(分断)』という考えが受け入れられず対立も多かったですが、今では両者の関係は穏やかです」と話した。そして、東ティモールの現実を「インドネシア全体が理解して学ぶ必要がある」と感じ、「最近の映画は自分の好きなアプローチをすることができる。自由に自分が伝えたいことを伝えられる」とドキュメンタリーやフィクションという形で表現したことを明かした。

 レスマナプロデューサーは、難しいテーマを扱った今作は「非常にチャレンジな作品だった」と振り返り、「予算は少なかったけれどつくる必要性を感じた。一般の方からもクラウンドファンディング形式で資金を募り、約3万ドル集まりました。それだけみなさんの関心が高かった」とニッコリ。今後は、「東ティモールの人に見てほしいけれど劇場がないので、12月か(来年の)1月ころにオープンスクリーンで上映しようと思っています」とインドネシア国内での公開を予定している。

【作品情報】
ティモール島アタンブア39℃

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