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俳優デビューの前川清、初主演作は「まだ見ておりません」

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 歌手の前川清が初主演に挑んだ「旅の贈りもの 明日へ」が10月22日、東京・六本木で開催中の第25回東京国際映画祭で特別招待作品として上映され、前川と前田哲監督が舞台挨拶に立った。

【フォトギャラリー】前川清、前田哲監督が出席した舞台挨拶の模様はこちら

 「旅の贈りもの☆0:00発」(2006)に続き、鉄道の旅をテーマにしたヒューマンドラマのシリーズ第2弾。独身のまま定年退職を迎えた孝祐(前川)、恋人との結婚に踏み切れずにいる結花(山田優)、スランプに陥ってしまったバイオリニストの晃(須磨和声)の3人が、それぞれの思いを胸に抱えながら春の福井を旅する過程で人生を見つめ直していく姿を描く。

 前川は「歌い手として仕事をしているので、夢のような映画の世界」と挨拶しながらも、映画は「まだ見ておりません。自分の歌を歌うのも苦手なくらいで、ついあら探しをしてしまう。役者というのが初めてなもので」と恐縮しきり。映画祭初日のグリーンカーペットにも参加したが、「そういうものがあるとは知らなかった。私はステージが小さくてすむので“1坪歌手”と言われているくらい。思いもよらぬできごとで、新鮮さとうれしさと照れくささ、良い思い出になった」と述懐した。

 前田監督はそんな前川を、「演技を越えたものがあって、存在自体が語っている。芝居をする必要がない。そのままですごく素敵で面白い人なので、今度は前川清役をやってほしい」とラブコール。また、「これまで10~20代に向けた映画を作ることが多かった。今回は大人の映画を撮ったつもりなので、大人の方に届けば良いかなと思う」と語った。さらに、「僕の中では喪失の物語としても作っている。東日本を襲った大震災が作り手に影響を及ぼさないわけがなく、それをあからさまに出すのではなく物語に盛り込んだ。光の一部になればと思って作った映画」と感慨深げに語った。

 最後に前川は、「私は今年64歳で団塊の世代。誰にも引退は訪れるもので、それを温かく感じながら第2の人生を歩んでいけるといいと思う」と会場に語りかけた。

 「旅の贈りもの 明日へ」は10月27日より公開。

【作品情報】
旅の贈りもの 明日へ

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