平穏な生活を営んでいたカップルや家族が、松生という男から突然知らされる謎の女・艶の存在に困惑しながらも、自らの生き方や愛を見つめ直すという直木賞作家・井上荒野の同名小説を、行定勲監督が映画化した『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』が、2013年1月26日に全国公開される。
そこで、艶の最後の夫・松生春二を演じる俳優の阿部寛と行定勲監督に話を聞いた。
――愛の物語である同作を撮り終えた感想を教えて下さい。
行定監督「僕は恋愛映画を撮ってるイメージがありますが、今まで1度も恋愛映画は撮っていない。
でも、これは明らかに恋愛映画です。
僕の理想の恋愛映画は、狂ってるというか愛の終わりをイメージするもの。
傍から見たら松生は狂ってるんでしょうけど、本人は愛を全うしてる。
本当に人を好きになるということが、この松生に表現されてるんです。
これが本来の愛のあり方なんだと思う」阿部「この松生っていう男は、僕と同い年くらいなのに10代の恋みたいに一直線に進んでいて、すごく魅力的だと感じました。
松生は艶に関する男たちに電話をしていくんですが、その男たちの周りの女がザワザワ動き出すのを連想しながら演じました。
女優陣との絡みはあまり無かったんですけど、完成した作品を観たら、松生の役柄が出ていてスゴイ事になってた(笑)」――物語の中心人物である艶という女性の人物像とは?阿部「恋に生きている女ですよね。
手元から離れていくからこそ、松生は彼女を尊く感じてしまうというか。
離れていく人を追い続ける気持ちは共感出来ます。
男性は手が届かない人に惹かれたり、浮気心は持っているもの。
女性も艶のような人はたくさんいるので、おかしな事じゃないと思います」行定監督「艶って女は奔放でとんでもない女だけど、彼女を見つめている人たちが『果たして自分はどうなのか?』と考える。
それらの出来事が層みたいに重なった時に、1つの大きな物語が見えてくるんです」――阿部さんが演じた松生はどのような人物ですか?阿部「艶を愛することにより、元妻を置いて島へ駆け落ちしてしまったけど、彼女を純粋に愛しぬく姿は迷いがなくて面白い。
そのひたむきさは健気で可愛かったり、滑稽に見えたり。
彼は強さも弱さにも共感できる男です。
」――愛に正直に生きる松生がうらやましい感じもしますね。
阿部「男は松生を見て嫌な気持ちにはならない。
演じていて、自分の弱い部分をどんどん出していく爽快さもありました」行定監督「松生がうらやましいと思う男も女もいると思う。
全部を捨てて女のところに行くのはハードルが高いし、彼女が出て行っちゃっても待ち続けるし。
撮影中は阿部さんが松生に取り憑かれたようになってて、セリフが阿部さんの思い込みで違う方向に行っても『いいよ!松生がそう言いたいんだから!』って言ってました」――同作で初めてタッグを組まれたそうですが、お互いの印象はいかがですか?行定監督「阿部寛ってこんな人なんだと魅了されましたね。
役への取り組み方は真面目なんだけど、心の奥底では遊び心がある人で、僕が理想とする俳優像がいたという印象。
最初にお会いした時に『何kg痩せましょうか?』と聞いてきて、そんな俳優はいないので面食らいました。
現場に来ると痩せるために自転車でグルグル回ってるんですよ。
痩せるから偉いんじゃなくて、役に対するアプローチの仕方がすごい。
”精神を作るために肉体がある”という側面を捉えていて、こういう俳優がもっと増えてくれればと思う。
また是非一緒にやりたい」阿部「行定監督は色んな作品を撮っているので、いつかご一緒出来たらと思ってました。
初めてのお仕事でしたが、よくこれだけ狂った役を頂けたなと感謝してます。
行定監督は、役者に寄り添うように後ろからそっと支えてくれるような人。
良いシーンを撮ろうとする監督の姿勢は、役者として色んなチャンスを頂けて心地良かったです」【拡大画像を含む完全版はこちら】
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――愛の物語である同作を撮り終えた感想を教えて下さい。
行定監督「僕は恋愛映画を撮ってるイメージがありますが、今まで1度も恋愛映画は撮っていない。
でも、これは明らかに恋愛映画です。
僕の理想の恋愛映画は、狂ってるというか愛の終わりをイメージするもの。
傍から見たら松生は狂ってるんでしょうけど、本人は愛を全うしてる。
本当に人を好きになるということが、この松生に表現されてるんです。
これが本来の愛のあり方なんだと思う」阿部「この松生っていう男は、僕と同い年くらいなのに10代の恋みたいに一直線に進んでいて、すごく魅力的だと感じました。
松生は艶に関する男たちに電話をしていくんですが、その男たちの周りの女がザワザワ動き出すのを連想しながら演じました。
女優陣との絡みはあまり無かったんですけど、完成した作品を観たら、松生の役柄が出ていてスゴイ事になってた(笑)」――物語の中心人物である艶という女性の人物像とは?阿部「恋に生きている女ですよね。
手元から離れていくからこそ、松生は彼女を尊く感じてしまうというか。
離れていく人を追い続ける気持ちは共感出来ます。
男性は手が届かない人に惹かれたり、浮気心は持っているもの。
女性も艶のような人はたくさんいるので、おかしな事じゃないと思います」行定監督「艶って女は奔放でとんでもない女だけど、彼女を見つめている人たちが『果たして自分はどうなのか?』と考える。
それらの出来事が層みたいに重なった時に、1つの大きな物語が見えてくるんです」――阿部さんが演じた松生はどのような人物ですか?阿部「艶を愛することにより、元妻を置いて島へ駆け落ちしてしまったけど、彼女を純粋に愛しぬく姿は迷いがなくて面白い。
そのひたむきさは健気で可愛かったり、滑稽に見えたり。
彼は強さも弱さにも共感できる男です。
」――愛に正直に生きる松生がうらやましい感じもしますね。
阿部「男は松生を見て嫌な気持ちにはならない。
演じていて、自分の弱い部分をどんどん出していく爽快さもありました」行定監督「松生がうらやましいと思う男も女もいると思う。
全部を捨てて女のところに行くのはハードルが高いし、彼女が出て行っちゃっても待ち続けるし。
撮影中は阿部さんが松生に取り憑かれたようになってて、セリフが阿部さんの思い込みで違う方向に行っても『いいよ!松生がそう言いたいんだから!』って言ってました」――同作で初めてタッグを組まれたそうですが、お互いの印象はいかがですか?行定監督「阿部寛ってこんな人なんだと魅了されましたね。
役への取り組み方は真面目なんだけど、心の奥底では遊び心がある人で、僕が理想とする俳優像がいたという印象。
最初にお会いした時に『何kg痩せましょうか?』と聞いてきて、そんな俳優はいないので面食らいました。
現場に来ると痩せるために自転車でグルグル回ってるんですよ。
痩せるから偉いんじゃなくて、役に対するアプローチの仕方がすごい。
”精神を作るために肉体がある”という側面を捉えていて、こういう俳優がもっと増えてくれればと思う。
また是非一緒にやりたい」阿部「行定監督は色んな作品を撮っているので、いつかご一緒出来たらと思ってました。
初めてのお仕事でしたが、よくこれだけ狂った役を頂けたなと感謝してます。
行定監督は、役者に寄り添うように後ろからそっと支えてくれるような人。
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