全世界を震撼させた“イランアメリカ大使館人質事件”が起きたのは、1979年11月4日。そして事件発生から18年、謎に包まれたままだった真相がついに明かされた。それはCIAによる、ハリウッド史上最も危険な“映画製作”だった・・・そんな前代未聞の人質救出作戦を映画化した『アルゴ』は、ベン・アフレックが『ザ・タウン』(2010年)に続き監督・主演を、ジョージ・クルーニーがプロデューサーを務める注目作だ。
本作で、大物プロデューサーを演じるアラン・アーキン(『リトル・ミス・サンシャイン』ほか)、特殊メイクのスペシャリストを演じるジョン・グッドマン(『ビッグ・リボウスキ』ほか)、そしてCIAの上司を演じるブライアン・クランストン(『ドライヴ』ほか)の3者によるインタビューを独占入手した。
まず監督のアフレックについて、「彼はまだ数本の監督経験しかないのに、すでに何十年も監督してきたような安定感があって、信頼のおける人で、自信がある人なんだよね」と語るアーキン。クランストンも「俳優が良い演技をするための、最高の環境を作ってくれたんだよね。それに、僕らが自由に様々な演技に挑戦できる雰囲気にもしてくれたし」と絶賛する。
撮影現場で即興などはあったのか? との問いには、「そもそもこれだけ良く書かれた脚本があったら、俳優にとってはこれほど簡単な仕事もないんだ」と言うクランストンは、「クリス・テリオの脚本は本当に素晴らしかったから、僕は彼が掲げてくれた看板に従うだけで良かったんだ」と、脚本家をベタ褒め。
完成した作品を見た感想について、「僕は自分の演技しているところを見るのが嫌いなんだけど、この映画の場合は、他の部分であまりに夢中になってしまったから、自分が出ているところはあまり気にならなかった」と語るグッドマンと同様、クランストンも「物語がここまで素晴らしく語られていると、自分の演技をすごく客観的な観点から見ることができる」とのことで、いち観客にさせられてしまうほど魅力的な物語であることを強調した。
また、「彼ら(グッドマンとアーキン)のシーンで素晴らしいと思うのは、ジョークを言っているから/ハリウッドを笑いものにしているから笑える、というわけじゃないことなんだ。彼らのシーンは観客に息をする瞬間を与えてくれるけど、同時に物語の基礎を固めてくれているんだよね。つまり、あのシーンが他のシーンの犠牲になっているわけではないんだ」と、緩急の効いた演出について触れたクランストン。
これに関してはアーキンも「映画のトーンが劇的に変わるところは、本当に脚本が傑作と言えるほどに素晴らしく書けていると思うからね。かつてはハリウッドでもこんな風に作られていたと思うんだけど、いつの間にか人間の普通の生活には当たり前に存在するコントラストが消滅してしまったんだよね」と嘆きつつ、「映画というのは、人生を象徴するべきなんだ。この映画の本当に素晴らしいことのひとつは、ここに感情的なコントラストが素晴らしく描かれていることなんだ」と、本作が映画の持つ根源的な魅力に溢れていると絶賛した。
最後にクランストンは、「肌もあらわな女性が登場するわけでもないし、若くて人気のある俳優達がたくさん出るわけでもないから、どんな人達に見に来てくれるのかを予想するのが難しい。ただし、この映画が素晴らしいことだけは間違いないんだ。だから僕は、この映画を完璧に支援していきたいし、口コミで広がってくれればと思うし、そしてこの映画が大事な作品だと気付いてくれることを祈るのみだよ」と、まるで自身の作品かのように、その成功を心から願っている様子であった。
『アルゴ』は2012年10月26日、全国ロードショー
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