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記憶障害から復活したミュージシャンGOMA「人生の再出発させてもらった」と感謝

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 第25回東京国際映画祭で観客賞を受賞した「フラッシュバックメモリーズ 3D」が1月19日に公開を迎え、松江哲明監督と映画に出演したミュージシャンのGOMAが、都内の劇場で舞台挨拶に立った。

【フォトギャラリー】「フラッシュバックメモリーズ 3D」初日挨拶の様子はこちら

 アボリジニ伝来の楽器ディジュリドゥの奏者だったが、追突事故に遭遇して高次脳機能障害を抱えたGOMAの復活の過程を追いかけたドキュメンタリー。脳裏に突然、映像が浮かぶ「フラッシュバック」の症状をアニメーションで表現するほか、3D映像を過去の記憶と現在の姿を描き分けるために使用するなど、斬新な表現で称賛を浴びた。

 満員の客席からの温かい拍手に、GOMAは感激の面持ち。「人生、いつ何が起こるか分かりません。あの日から4年目に突入しましたが、みなさんにこうしてお会いしてここに立っている僕がいるということが全て。みなさんの応援で2回目の人生の再出発をさせていただけるような気持ちです」と言葉を絞り出した。

 「あんにょん由美香」「ライブテープ」などで注目を集めてきた松江監督だが、「シネコンで自分の作品が公開されるのは初めて。違いますねえ」と、しみじみと喜びをかみしめる。「(映画の企画の)話を聞いたとき、正直言って僕が撮るのがベストなのか分からなかったんです。GOMAさんについて話を聞いて最初は『記憶障害を抱えている人』と思っていたんですが、音楽を聞いたら“音楽の人”だった。じゃあそれをどう撮るかということでこういう形になりました」と語った。

 GOMA自身は、ドキュメンタリーとして自らが撮影されるということに「葛藤がありました。よく分からなくなっている自分を受け入れられずに、誰もいないところに行って住みたいとさえ考えていました」と迷いがあったことを告白する。「でも監督やプロデューサーに話をしていくうちに少しずつ心のドアが開いていきました。ずっと自分の小さな世界に閉じこもっていたけど、最終的にはこの世界からも去らないといけないわけで、それならみんなともう一度つながって思い切り笑いたい、と考えたとき答えが出ました」と振り返った。

 松江監督は、生のライブ感が魅力のGOMAの音楽と対比し「映画は記録に残るもの」と語り、「どういう残し方ができるのか? 映画ならこういうことができるとGOMAさんに挑戦したかった。この映画自体がGOMAさんの生きる道具になってくれたらと思うし、あとは観客のみなさんに育てていただけたら」と呼びかけた。

【作品情報】
フラッシュバックメモリーズ 3D

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