12月に発表された「初音ミク 2.0」でNo.300の大台に達し、快進撃を続けるフィギュアシリーズ「ねんどろいど」。2.5頭身にデフォルメされたかわいいキャラは着実にファン層を広げ、その人気はとどまるところがない。その精巧な造形は、いかに生み出されているのか。グッドスマイルカンパニー企画部ホビーチームのプロデューサー・小田ツヨシ氏に、フィギュア業界の現状と未来を含め話を伺った。
＜フォトギャラリー＞まどかマギカ・初音ミク・アイアンマンも「ねんどろいど」に
まず、ねんどろいどのブレイクについて、小田氏本人はその理由をどのように分析しているのか。
「一番は“かわいい”ということ。かわいいから誰でも嫌な感じはしないでしょうし、手に取りやすいんじゃないかなと。そしてポーズがついた腕が入っていたりするから、可愛い、カッコいいポーズにするのに難しさがなく、すごく遊びやすい商品になっている」。
低価格で手に取りやすく、誰にでもポーズがつけやすい――初心者にも優しい仕様が人気の秘密ではと語るが、アニメとフィギュアを取り巻く環境の変化も小田氏は感じている。
「境界線が減ってきてますよね。アニメのDVDやブルーレイの売れている数と、フィギュアの売れている数が近くなってきています。昔は“こんなのが部屋にあったら気持ち悪い”というイメージもあったと思うんですけど（苦笑）、あまりフィギュアに抵抗が無くなってきている気はします。DVDとかブルーレイも、観るというより手元に置いて“ファンの証だ”みたいなところもあると思うので、グッズに近い感覚ですよね。フィギュアもそんな高価格帯のDVDやブルーレイと同じカテゴリーに入って、アニメファンとしてフィギュアも手に取ってくれているのかもしれません」。
きっと、ファンの思い入れに応える精緻なフィギュアの数々が、そうした垣根を下げてきたのだろう。完成度の高さが話題となった「セイバー＆セイバー・モータード・キュイラッシェ」を例に、小田氏は制作上の信条を語る。
「作る際にフィギュアとして面白いかどうかはできるだけ狙うようにしています。この製品はすごく大変でしたけど、バイクを作った方が造形物として面白いと思ったし、やはり造形物として面白いものができないと。最初に資料をもらったら、ブレーキであったりタイヤを支えている部分、細かい部分が無かったりしました。そういう部分も作り込んでいって、フィギュアにした時どうしたらカッコいいか、世界観としては、こう走ってきてこうブレーキしたんじゃないか、戦ってるシーンなので剣を持っていたんじゃないか、とか想像して作りました」。作品の世界観やキャラクターの背景も含めて立体化していく、創造的な商品にしたいと思っているとのこと。
最近はアニメ制作サイドの理解も進み、フィギュア制作のスタートも早くなっている。この日も小田氏は2014年のアニメ作品のフィギュア化に関する打ち合わせを終えた後であり、フィギュアを取り巻く現状と未来を次のように語る。
「僕はフィギュアに携わって8年目になりますが、入社当時5,000円前後ぐらいだった1／8スケールフィギュアが、今は1万円を超えるものもある。お客さまが買えるものも限られてるし、フィギュアメーカーも商品点数もいっぱいあります。その中から1つを選んでもらわないといけないので、最高のものを作らないといけないと考え、（デザインを）盛っていく傾向にあり、派手なものが増えています。今後、市場の開拓を含めて海外へ目を向けています。今は特にアジア圏が伸びています。先日もシンガポールへ行ったんですけど、コミケやゲームショー並みの人の多さでビックリしました。アジアはもちろんアメリカ・ヨーロッパ、全世界ででもフィギュアへの興味が増えるといいなと思っています」。
日本のアニメ、そして精緻なものづくりの結晶であるフィギュア。今後、ジャパンカルチャーとして世界を席巻していくのかもしれない。（取材・文・写真：しべ超二）
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「境界線が減ってきてますよね。アニメのDVDやブルーレイの売れている数と、フィギュアの売れている数が近くなってきています。昔は“こんなのが部屋にあったら気持ち悪い”というイメージもあったと思うんですけど（苦笑）、あまりフィギュアに抵抗が無くなってきている気はします。DVDとかブルーレイも、観るというより手元に置いて“ファンの証だ”みたいなところもあると思うので、グッズに近い感覚ですよね。フィギュアもそんな高価格帯のDVDやブルーレイと同じカテゴリーに入って、アニメファンとしてフィギュアも手に取ってくれているのかもしれません」。
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「作る際にフィギュアとして面白いかどうかはできるだけ狙うようにしています。この製品はすごく大変でしたけど、バイクを作った方が造形物として面白いと思ったし、やはり造形物として面白いものができないと。最初に資料をもらったら、ブレーキであったりタイヤを支えている部分、細かい部分が無かったりしました。そういう部分も作り込んでいって、フィギュアにした時どうしたらカッコいいか、世界観としては、こう走ってきてこうブレーキしたんじゃないか、戦ってるシーンなので剣を持っていたんじゃないか、とか想像して作りました」。作品の世界観やキャラクターの背景も含めて立体化していく、創造的な商品にしたいと思っているとのこと。
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