先日とあるアイドルさんの取材に行って、あらためて実感しました。元気な女の子に会うと、こっちまで元気になる! 混迷を極める日本において、アイドルの存在は日増しに輝きを増すばかりです。
「ウレぴあ総研」でこの記事の完全版を見る【動画・画像付き】
そんなアイドルの活躍と、メディアの進化・発展は、実は蜜月関係にあるのではないか? そんな視点から、アタマとカラダとココロを総動員して<メディアとアイドルの進化>を楽しく実感できる展覧会『メディア/アイドル ミュージアム』が、2013年4月7日(日)まで開催中です。
JR川崎駅からバスで10数分。会場となる埼玉県・川口市「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアム」に到着です。今回の『メディア/アイドル ミュージアム』はこの映像ミュージアムの企画展という位置づけ。そのため当然常設展というものもありまして、これがまたかなりすごい展示だったのですが、それは記事の最後にご紹介するとして、まずは『メディア/アイドル ミュージアム』の体験レポートをお届けいたします。
ちなみに本企画展に協力しているアイドルは、アイドリング!!!、アップアップガールズ(仮)、AKB48、℃-ute、でんぱ組.inc、東京女子流、初音ミク、バニラビーンズ、Berryz工房、BiS、風男塾、モーニング娘。 ほか。どうですかこのそうそうたる顔ぶれ! ではさっそく見ていきましょう。
会場に入ると最初に目に飛び込んでくるのは、日本におけるメディアとアイドルの歴史を一望できる巨大な年表。はじまりは1950年代の美空ひばりデビュー(!)から、ゼロ年代以降のグループアイドル戦国時代まで、それぞれの時代におけるエポックメイキングな事柄が網羅されています。また、年表の欄外にはQRコードがついていて、読み取るとさらに詳しいコラムやアイドルのプロフィールを知ることができます。
さらにこの年表、半分から下がアイドルの歴史、その上がメディアの歴史になっていて、上下の年表を見比べてみると、カラーテレビの誕生・インターネットの普及・YouTubeの誕生など、メディアが劇的に変化したタイミングにシンクロするように、アイドルシーンにも大きなうねりが生まれていることがわかります。正直、この年表を読み込んでいろいろ考察しているだけで軽く1時間は過ぎてしまいそうな密度!
続いてはアイドルとメディアの蜜月関係をもっともわかりやすく体感できる表現=ミュージックビデオを見られる視聴コーナー。今回の企画を担当した澤柳さんいわく、ここでも上映されているBiS『nerve』のMVを見て衝撃を受け、今回の企画展を思いついたのだとか。
MVで実際に使用した、激レア衣装や小道具を展示!
BiSのMV『nerve』の撮影でファンを中心とする16人の撮影隊が使用したのは、なんとiPhone! 誰でも持っている身近な機材でも、あふれるアイデアとバイタリティをもってすれば、こんなにおもしろい作品ができてしまうんですね。このような各MVの解説はパネルで読むことができるのですが、興味深い記述がたくさんあるので必見です! 見なれたMVも「メディア作品」という視点で見なおしてみると、また違った奥深さを感じられるはず。そしてここもすべての作品を見ているとあっという間に1時間が経過……うーん、予想以上に濃密です、この展覧会。
ミーハー心をくすぐる展示もありますよ。視聴コーナーで流れているMVで実際に使用された衣装や小道具が展示されているのです!
アイドリング!!!『MAMORE!!!』、BiS『nerve』、バニラビーンズ『ニコラ』、東京女子流『鼓動の秘密』の衣装、そしてでんぱ組.incはポラロイドカメラ・チェキを使って作られたMV『くちづけキボンヌ』から、MV未使用カットのチェキがドドンと展示! 過去の MVの衣装をこんなに間近で見られる機会って、そうそうないですよね。こういうファンが喜ぶポイントもしっかり押さえてるあたり、ぬかりないです。で、この衣装を見てるとまたMVを見返したくなってくるんですよね。あれ、これ無限ループ入ってる……?
さてお次はいよいよ人気の高いオリジナル体験型作品をご紹介しましょう。まずは『Be the Idol!』から。こちらは文字どおり、誰でもアイドルになれちゃう夢のような作品なのです。
画面上であのアイドルと共演! 実はけっこう体力勝負です
要はスクリーン上でアイドルたちと共演できるというもの。東京女子流の『おんなじキモチ』と、℃-uteの『Danceでバコーン!』の2曲で、メンバーといっしょに踊ることができます。でもいきなり踊るなんて無理……という人のために練習モードもご用意。こちらはメンバーが直接ダンスのアドバイスをしてくれます(「右、右、手を左右に振って~」みたいな感じ)。もちろんすべて、この展示のための撮りおろしの映像です。
自分は東京女子流の『おんなじキモチ』で挑戦することに。スクリーンの前に立って合図を出すと、メンバーの5人が登場します。女子流の5人の真ん中に猫背のアラサー男子がいる絵面がなんとも恥ずかしい……と思う間もなくミュージックスタート! 『おんなじキモチ』ってガシガシバキバキ踊るという曲ではなく、むしろ見てる分にはおとなしめのフリにも思えるのですが、実際踊ってみるとけっこうな運動量……! つかこれ踊りながら笑顔で歌ってるのか……!(ハアハア) アイドルってすげえ……!(ゼエゼエ) そして全然踊れてない自分恥ずかしすぎる……!(ゴホッゴホッ)
想像以上に踊れない自分に落ち込みつつ、これ相当楽しい! ある程度事前にフリを覚えてから挑戦するのがオススメです。みんなで呼吸をあわせて踊るってこんなに楽しいんだ!と、生き物としての根源的な快感を再確認しました。そして一応ダメもとで℃-uteの『Danceでバコーン!』も踊ってみましたが、難易度の高さ&呼吸困難のため速攻で撃沈……汗だく……! アイドルってある意味ガテン系なんだなあ。
さて続いては、こちらも今回の目玉作品『IDOLS EYES』。アップアップガールズ(仮)のステージの模様を、メンバー目線で体感できるという作品です。画面の前にはスイッチャーが設置されていて、メンバー7人+客席後方+メンバー後方の9つの視点を切り替えることができます。
「アイドルの視点」でライブを見るとこうなります
さっそく楽曲『サイリウム』がスタート。うおおおお、これすごい! メンバーの頭部横、ちょうど目線の高さにカメラが設置してあるため、臨場感バツグン。振り上げたメンバー自身の手が見切れていたり、横で踊っている他メンバーの表情が間近で見られたり……まさに「メンバーしか見ることができない光景」を共有することができます。
さらに曲が終わるといったんステージ裏に移動して、ドリンクを飲んだり髪を直したりするところまで潜入しちゃいます。なんというか、もはや究極のドキュメンタリーですねこれは。そしてもう1曲『アッパーカット!』も楽しむことができます。
よくアイドルのみなさんって「みんなの顔すっごくよく見えるよー!」って言いますが、あれって本当なんですね。映像でもお客さんのイキイキとした笑顔が確認できます。みなさん、こういうステージを日々こなしているんですよね……アイドルという存在のタフさを改めて感じさせてくれる作品でした。
先ほどの『Be the Idol!』、そしてこの『IDOLS EYES』は、撮影機器の進化などメディアの発達があったからこそ実現できたものと言えるでしょう。楽しく体験している間にも、知らず知らずのうちにメディアとアイドルの進化を体感することができるのです。
アイドルの未来はどうなる? 初音ミクを自分のカラダで動かそう!
最後は、未来のアイドルシーンを展望するブース。まず登場するのは、全国のロコドル(ご当地アイドル)を集約した「全国ロコドル分布図」。日本地図上に分布されたロコドルは膨大な数にのぼっています。インターネットの発達により、地方にいながら世界を相手に勝負できる時代となっているんですね。現在、公式サイトではさらなる情報を収集中なので、あなたのイチ推しロコドルの情報を投稿してみては?
さらに未来のアイドル像のひとつとして登場する「バーチャルアイドル」の紹介では、ホリプロが仕掛けた伝説のバーチャルアイドル・伊達杏子(DK-95)さんのMVも放映されています。‘96年当時としては画期的な技術で、実写とCGが合成されたMVは見事! 色濃くただよう90年代特有のムードも一周まわってカッコいいなあ。この映像はかなりレアかもしれません。
ラストを飾るのは、未来のアイドル代表格・初音ミクの登場です。初音ミクユーザーにはおなじみのフリーCGムービー制作ツール『MikuMikuDance』のシステムを体感できます。
『MikuMikuDance』ではPC画面上で初音ミクを動かしますが、ここではモーションキャプチャーの技術を取り入れ、自分の動きにシンクロして画面上の初音ミクが動きます。
例えば髪をかきあげるしぐさをすれば、画面のミクもさらっと髪をかきあげる! 好きな楽曲の振り付けを覚えていけば、ミクと一緒にダンスする感覚を味わうことができます(自分はコマネチを連発したりしましたが、これは間違った使い方)。完全にバーチャルな存在である初音ミクを自分のカラダを使って動かしていると、2次元と3次元がまざっていくような不思議な感覚になりました。
結論としては、『メディア/アイドル ミュージアム』、すっごいおもしろかったです! 単純に体験型イベントとしてもクオリティ高いし、もちろんアイドルファンであれば絶対楽しめるだろうし、アカデミックにアイドルとメディアについて考察したいという人も大満足の情報量……と、ニッチに思えるテーマに反して、幅広い人たちが楽しめる工夫が随所に凝らされていました。
聞けば、冒頭のアイドル年表を親子で見ながら「お父さんはモー娘。だな」「あたしはももクロ!」なんて会話する親子の姿もあるとか。世代を超えて私たちに勇気を届けてくれるアイドルという存在の魅力を、メディアという切り口を加えて提示した『メディア/アイドル ミュージアム』、一見の価値アリです! 期間中は現役アイドルも登場する各種イベントも行われるので、スケジュールをチェックしてみてくださいね。
さて企画展はこれで終了なのですが、オマケとして映像ミュージアムの常設展もご紹介いたしましょう。いやこれ、オマケってレベルじゃなかったんです……!
実は常設展もハンパじゃないんです……!
展示内容は、映像にまつわるさまざまな仕組みをわかりやすく解説するというもの。地元の小学生も社会科見学などでよく訪れるそうです。そもそもSKIPシティの敷地内にある空き地が映画の撮影に使われることが多いそうで、常設展の入り口には、山田洋次監督『母べえ』で実際に使用されたセットの一部が展示されていました。
ブラウン管やデジタル放送画面の仕組みなど映像の原理を勉強したあとは、映画制作のプロセスを紹介するパートへ。ん? ガラスケースに入ったこの紙切れは……えっ! 黒澤明監督の直筆絵コンテ!? こっちには『メン・イン・ブラック2』の撮影で実際に使用した黒スーツ!? その他にも『スターシップ・トゥルーパーズ』の宇宙船(これも実物)があったりと、なんか映像ミュージアム、実はけっこうすごいのでは!?(←失礼) 実物関係は写真撮影NGだったので、ぜひ現場で確認してみてください!
その奥には撮影体験ができるコーナーが出現。レーンが敷かれた本格的なセットで、カメラマンと俳優それぞれの視点で撮影現場を体験することができます。
こちらのマシーンでは「編集」の概念を体験できます。タッチパネルで3つの場面を並べ替え、別のストーリーを作るというもの。「同じ素材を使っても見せ方によって意味が180度変わる」という編集のパワーを体験することで、普段見ているニュースでも編集のマジックが使われていることがある……と、子どもたちのメディアリテラシーを高めようという目的もあるのだとか。というか大人がやっても全然おもしろい!
この他にも『忍たま乱太郎』のアニメに合わせてアフレコができたり、『ローマの休日』よろしく実写合成が体験できたりと、超充実の内容になっています。これ、メディアの仕組みやあり方の基礎を学ぶという意味で、『メディア/アイドル ミュージアム』の展示を見る前フリとしても最適な内容になっているので、ぜひ常設展もセットで見るのをオススメします。いやほんとにびっくりしました。これを社会科見学できる川口の小学生がうらやましい!
しかしこれで終わりではないんです。別フロアに進むとそこには本格的なテレビスタジオがあり、取材当日には県内の小学生が番組収録を行なっていました。周辺の小学校では年に数十時間を使って「テレビ番組制作」の授業を行なっているのだそうです。
カメラ片手に取材をしてVTRを編集、最終的にスタジオでキャスター・カメラマン・スイッチャー・音声などをクラス全員で割り振り、ひとつの番組をパッケージするという授業を通して、コミュニケーション力や協力してモノを生み出す喜びを学ぶのだとか。ええーーこんな授業すげー受けてみたかった! 超楽しそうだし、しっかり人生に役立つことが学べそうないい授業だなあ……。
と、思わぬところで映像ミュージアムの底力に驚き、感動しちゃいました。『メディア/アイドル ミュージアム』に行く際は、ぜひ常設展も楽しんでみてくださいね!
SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム 公式HP
企画展『メディア/アイドル ミュージアム』 公式HP
会期:開催中~2013年4月7日(日)
【関連記事】
・2013年、ネクストブレイク期待!! 注目の新人アイドルグループ21組![レポート]
・【ライブレポ】モーニング娘。誕生15周年記念コンサートツアー2012秋~カラフルキャラクター~[レポート]
・アイドルの祭典『TOKYO IDOL FESTIVAL 2012』を駆け巡って取材しまくってきた!<8月4日編>[レポート]
・まだまだ終わらない!『TOKYO IDOL FESTIVAL 2012』を一人で駆け回ってきた!<8月5日編>[レポート]
「ウレぴあ総研」でこの記事の完全版を見る【動画・画像付き】
そんなアイドルの活躍と、メディアの進化・発展は、実は蜜月関係にあるのではないか? そんな視点から、アタマとカラダとココロを総動員して<メディアとアイドルの進化>を楽しく実感できる展覧会『メディア/アイドル ミュージアム』が、2013年4月7日(日)まで開催中です。
JR川崎駅からバスで10数分。会場となる埼玉県・川口市「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアム」に到着です。今回の『メディア/アイドル ミュージアム』はこの映像ミュージアムの企画展という位置づけ。そのため当然常設展というものもありまして、これがまたかなりすごい展示だったのですが、それは記事の最後にご紹介するとして、まずは『メディア/アイドル ミュージアム』の体験レポートをお届けいたします。
ちなみに本企画展に協力しているアイドルは、アイドリング!!!、アップアップガールズ(仮)、AKB48、℃-ute、でんぱ組.inc、東京女子流、初音ミク、バニラビーンズ、Berryz工房、BiS、風男塾、モーニング娘。 ほか。どうですかこのそうそうたる顔ぶれ! ではさっそく見ていきましょう。
会場に入ると最初に目に飛び込んでくるのは、日本におけるメディアとアイドルの歴史を一望できる巨大な年表。はじまりは1950年代の美空ひばりデビュー(!)から、ゼロ年代以降のグループアイドル戦国時代まで、それぞれの時代におけるエポックメイキングな事柄が網羅されています。また、年表の欄外にはQRコードがついていて、読み取るとさらに詳しいコラムやアイドルのプロフィールを知ることができます。
さらにこの年表、半分から下がアイドルの歴史、その上がメディアの歴史になっていて、上下の年表を見比べてみると、カラーテレビの誕生・インターネットの普及・YouTubeの誕生など、メディアが劇的に変化したタイミングにシンクロするように、アイドルシーンにも大きなうねりが生まれていることがわかります。正直、この年表を読み込んでいろいろ考察しているだけで軽く1時間は過ぎてしまいそうな密度!
続いてはアイドルとメディアの蜜月関係をもっともわかりやすく体感できる表現=ミュージックビデオを見られる視聴コーナー。今回の企画を担当した澤柳さんいわく、ここでも上映されているBiS『nerve』のMVを見て衝撃を受け、今回の企画展を思いついたのだとか。
MVで実際に使用した、激レア衣装や小道具を展示!
BiSのMV『nerve』の撮影でファンを中心とする16人の撮影隊が使用したのは、なんとiPhone! 誰でも持っている身近な機材でも、あふれるアイデアとバイタリティをもってすれば、こんなにおもしろい作品ができてしまうんですね。このような各MVの解説はパネルで読むことができるのですが、興味深い記述がたくさんあるので必見です! 見なれたMVも「メディア作品」という視点で見なおしてみると、また違った奥深さを感じられるはず。そしてここもすべての作品を見ているとあっという間に1時間が経過……うーん、予想以上に濃密です、この展覧会。
ミーハー心をくすぐる展示もありますよ。視聴コーナーで流れているMVで実際に使用された衣装や小道具が展示されているのです!
アイドリング!!!『MAMORE!!!』、BiS『nerve』、バニラビーンズ『ニコラ』、東京女子流『鼓動の秘密』の衣装、そしてでんぱ組.incはポラロイドカメラ・チェキを使って作られたMV『くちづけキボンヌ』から、MV未使用カットのチェキがドドンと展示! 過去の MVの衣装をこんなに間近で見られる機会って、そうそうないですよね。こういうファンが喜ぶポイントもしっかり押さえてるあたり、ぬかりないです。で、この衣装を見てるとまたMVを見返したくなってくるんですよね。あれ、これ無限ループ入ってる……?
さてお次はいよいよ人気の高いオリジナル体験型作品をご紹介しましょう。まずは『Be the Idol!』から。こちらは文字どおり、誰でもアイドルになれちゃう夢のような作品なのです。
画面上であのアイドルと共演! 実はけっこう体力勝負です
要はスクリーン上でアイドルたちと共演できるというもの。東京女子流の『おんなじキモチ』と、℃-uteの『Danceでバコーン!』の2曲で、メンバーといっしょに踊ることができます。でもいきなり踊るなんて無理……という人のために練習モードもご用意。こちらはメンバーが直接ダンスのアドバイスをしてくれます(「右、右、手を左右に振って~」みたいな感じ)。もちろんすべて、この展示のための撮りおろしの映像です。
自分は東京女子流の『おんなじキモチ』で挑戦することに。スクリーンの前に立って合図を出すと、メンバーの5人が登場します。女子流の5人の真ん中に猫背のアラサー男子がいる絵面がなんとも恥ずかしい……と思う間もなくミュージックスタート! 『おんなじキモチ』ってガシガシバキバキ踊るという曲ではなく、むしろ見てる分にはおとなしめのフリにも思えるのですが、実際踊ってみるとけっこうな運動量……! つかこれ踊りながら笑顔で歌ってるのか……!(ハアハア) アイドルってすげえ……!(ゼエゼエ) そして全然踊れてない自分恥ずかしすぎる……!(ゴホッゴホッ)
想像以上に踊れない自分に落ち込みつつ、これ相当楽しい! ある程度事前にフリを覚えてから挑戦するのがオススメです。みんなで呼吸をあわせて踊るってこんなに楽しいんだ!と、生き物としての根源的な快感を再確認しました。そして一応ダメもとで℃-uteの『Danceでバコーン!』も踊ってみましたが、難易度の高さ&呼吸困難のため速攻で撃沈……汗だく……! アイドルってある意味ガテン系なんだなあ。
さて続いては、こちらも今回の目玉作品『IDOLS EYES』。アップアップガールズ(仮)のステージの模様を、メンバー目線で体感できるという作品です。画面の前にはスイッチャーが設置されていて、メンバー7人+客席後方+メンバー後方の9つの視点を切り替えることができます。
「アイドルの視点」でライブを見るとこうなります
さっそく楽曲『サイリウム』がスタート。うおおおお、これすごい! メンバーの頭部横、ちょうど目線の高さにカメラが設置してあるため、臨場感バツグン。振り上げたメンバー自身の手が見切れていたり、横で踊っている他メンバーの表情が間近で見られたり……まさに「メンバーしか見ることができない光景」を共有することができます。
さらに曲が終わるといったんステージ裏に移動して、ドリンクを飲んだり髪を直したりするところまで潜入しちゃいます。なんというか、もはや究極のドキュメンタリーですねこれは。そしてもう1曲『アッパーカット!』も楽しむことができます。
よくアイドルのみなさんって「みんなの顔すっごくよく見えるよー!」って言いますが、あれって本当なんですね。映像でもお客さんのイキイキとした笑顔が確認できます。みなさん、こういうステージを日々こなしているんですよね……アイドルという存在のタフさを改めて感じさせてくれる作品でした。
先ほどの『Be the Idol!』、そしてこの『IDOLS EYES』は、撮影機器の進化などメディアの発達があったからこそ実現できたものと言えるでしょう。楽しく体験している間にも、知らず知らずのうちにメディアとアイドルの進化を体感することができるのです。
アイドルの未来はどうなる? 初音ミクを自分のカラダで動かそう!
最後は、未来のアイドルシーンを展望するブース。まず登場するのは、全国のロコドル(ご当地アイドル)を集約した「全国ロコドル分布図」。日本地図上に分布されたロコドルは膨大な数にのぼっています。インターネットの発達により、地方にいながら世界を相手に勝負できる時代となっているんですね。現在、公式サイトではさらなる情報を収集中なので、あなたのイチ推しロコドルの情報を投稿してみては?
さらに未来のアイドル像のひとつとして登場する「バーチャルアイドル」の紹介では、ホリプロが仕掛けた伝説のバーチャルアイドル・伊達杏子(DK-95)さんのMVも放映されています。‘96年当時としては画期的な技術で、実写とCGが合成されたMVは見事! 色濃くただよう90年代特有のムードも一周まわってカッコいいなあ。この映像はかなりレアかもしれません。
ラストを飾るのは、未来のアイドル代表格・初音ミクの登場です。初音ミクユーザーにはおなじみのフリーCGムービー制作ツール『MikuMikuDance』のシステムを体感できます。
『MikuMikuDance』ではPC画面上で初音ミクを動かしますが、ここではモーションキャプチャーの技術を取り入れ、自分の動きにシンクロして画面上の初音ミクが動きます。
例えば髪をかきあげるしぐさをすれば、画面のミクもさらっと髪をかきあげる! 好きな楽曲の振り付けを覚えていけば、ミクと一緒にダンスする感覚を味わうことができます(自分はコマネチを連発したりしましたが、これは間違った使い方)。完全にバーチャルな存在である初音ミクを自分のカラダを使って動かしていると、2次元と3次元がまざっていくような不思議な感覚になりました。
結論としては、『メディア/アイドル ミュージアム』、すっごいおもしろかったです! 単純に体験型イベントとしてもクオリティ高いし、もちろんアイドルファンであれば絶対楽しめるだろうし、アカデミックにアイドルとメディアについて考察したいという人も大満足の情報量……と、ニッチに思えるテーマに反して、幅広い人たちが楽しめる工夫が随所に凝らされていました。
聞けば、冒頭のアイドル年表を親子で見ながら「お父さんはモー娘。だな」「あたしはももクロ!」なんて会話する親子の姿もあるとか。世代を超えて私たちに勇気を届けてくれるアイドルという存在の魅力を、メディアという切り口を加えて提示した『メディア/アイドル ミュージアム』、一見の価値アリです! 期間中は現役アイドルも登場する各種イベントも行われるので、スケジュールをチェックしてみてくださいね。
さて企画展はこれで終了なのですが、オマケとして映像ミュージアムの常設展もご紹介いたしましょう。いやこれ、オマケってレベルじゃなかったんです……!
実は常設展もハンパじゃないんです……!
展示内容は、映像にまつわるさまざまな仕組みをわかりやすく解説するというもの。地元の小学生も社会科見学などでよく訪れるそうです。そもそもSKIPシティの敷地内にある空き地が映画の撮影に使われることが多いそうで、常設展の入り口には、山田洋次監督『母べえ』で実際に使用されたセットの一部が展示されていました。
ブラウン管やデジタル放送画面の仕組みなど映像の原理を勉強したあとは、映画制作のプロセスを紹介するパートへ。ん? ガラスケースに入ったこの紙切れは……えっ! 黒澤明監督の直筆絵コンテ!? こっちには『メン・イン・ブラック2』の撮影で実際に使用した黒スーツ!? その他にも『スターシップ・トゥルーパーズ』の宇宙船(これも実物)があったりと、なんか映像ミュージアム、実はけっこうすごいのでは!?(←失礼) 実物関係は写真撮影NGだったので、ぜひ現場で確認してみてください!
その奥には撮影体験ができるコーナーが出現。レーンが敷かれた本格的なセットで、カメラマンと俳優それぞれの視点で撮影現場を体験することができます。
こちらのマシーンでは「編集」の概念を体験できます。タッチパネルで3つの場面を並べ替え、別のストーリーを作るというもの。「同じ素材を使っても見せ方によって意味が180度変わる」という編集のパワーを体験することで、普段見ているニュースでも編集のマジックが使われていることがある……と、子どもたちのメディアリテラシーを高めようという目的もあるのだとか。というか大人がやっても全然おもしろい!
この他にも『忍たま乱太郎』のアニメに合わせてアフレコができたり、『ローマの休日』よろしく実写合成が体験できたりと、超充実の内容になっています。これ、メディアの仕組みやあり方の基礎を学ぶという意味で、『メディア/アイドル ミュージアム』の展示を見る前フリとしても最適な内容になっているので、ぜひ常設展もセットで見るのをオススメします。いやほんとにびっくりしました。これを社会科見学できる川口の小学生がうらやましい!
しかしこれで終わりではないんです。別フロアに進むとそこには本格的なテレビスタジオがあり、取材当日には県内の小学生が番組収録を行なっていました。周辺の小学校では年に数十時間を使って「テレビ番組制作」の授業を行なっているのだそうです。
カメラ片手に取材をしてVTRを編集、最終的にスタジオでキャスター・カメラマン・スイッチャー・音声などをクラス全員で割り振り、ひとつの番組をパッケージするという授業を通して、コミュニケーション力や協力してモノを生み出す喜びを学ぶのだとか。ええーーこんな授業すげー受けてみたかった! 超楽しそうだし、しっかり人生に役立つことが学べそうないい授業だなあ……。
と、思わぬところで映像ミュージアムの底力に驚き、感動しちゃいました。『メディア/アイドル ミュージアム』に行く際は、ぜひ常設展も楽しんでみてくださいね!
SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム 公式HP
企画展『メディア/アイドル ミュージアム』 公式HP
会期:開催中~2013年4月7日(日)
【関連記事】
・2013年、ネクストブレイク期待!! 注目の新人アイドルグループ21組![レポート]
・【ライブレポ】モーニング娘。誕生15周年記念コンサートツアー2012秋~カラフルキャラクター~[レポート]
・アイドルの祭典『TOKYO IDOL FESTIVAL 2012』を駆け巡って取材しまくってきた!<8月4日編>[レポート]
・まだまだ終わらない!『TOKYO IDOL FESTIVAL 2012』を一人で駆け回ってきた!<8月5日編>[レポート]