2015年公開予定のマーベルヒーロー作品『アントマン』の脚本を担当しているジョー・コーニッシュ。
彼の初監督作品である『アタック・ザ・ブロック』のBlu-ray&DVDが発売された。
同作では『ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン』(2008年)のエドガー・ライトが製作総指揮を務め、『宇宙人ポール』(2012年)のニック・フロストが出演するSFパニック・アクションものだ。
なぜコメディアンとしても活躍する彼は監督一作目にSFパニック・アクションものを選んだのだろうか、また注目の新作『アントマン』についても話を聞いた。
――まず、製作期間や予算を教えて下さい。
「撮影期間に関しては、ロケーションに5週間、スタジオで5週間の全10週間ほどですね。
予算は700万ポンドです。
この予算は、低予算作品の制作に慣れている監督にとっては高いと思われるかもしれませんが、延べ100名のクルーで夜間や追跡シーンを撮影したり、SFXなどを用いた点を考慮するとかなり挑戦的な金額だったと思います」――母国のイギリスでは、コメディアンとしても活躍しているわけですが、なぜ監督デビュー作をSFパニックアクションものにしたのかを教えて下さい。
「SFパニックものでないにしろ、ファンタジックな要素の入っている作品が撮りたかったんです。
この作品の舞台になっているロンドンのように、作品を観た人がすぐに場所を特定できるような所を舞台に、いきなりモンスターなどを登場させたかったんですよ。
そんなことを考えていたときに、真っ先に思いついたのが、”どこにでもいそうな今風の子供がなぜかエイリアンの死体をズルズルひきづって歩いている”というイメージだったんです」――今回、初めて監督するにあたり、参考にした監督、意識した作品などはありますか。
「1970年代、1980年代の監督である、ジョンカーペンターやウォルター・ヒル、ジェームズ・キャメロンが大好きです。
ウォルター・ヒルの作品でいえば『ウォリアーズ』(1979年)や『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年)などが好きです。
今回の撮影にあたり、特にキャメロンの『ターミネーター』(1984年)、『ターミネーター2』(1991年)のアクションシーンの撮影手法を参考にしましたね。
『ターミネーター』シリーズで、バイクを使ったアクションがあるんですが、そこでのアクションの振り付けがシンプルでクリアなんです。
そこが素晴らしいんですよ」――この作品を観ていると、エイリアンと戦う子どもの武器が刀だったり、子どもたちの会話のなかに日本の漫画『NARUTO』というフレーズが出てきたり、何か日本的な要素を感じます。
「日本の映画やアニメは好きです。
一番好きなアーティストは松本大洋さんですね。
イラストレーターとして一番好きですし、映画化された作品『ピンポン』も好きです。
監督でいえば、北村龍平監督や三池崇史監督。
作品でいえば深作欣二監督の『バトル・ロワイヤル』(2000年)などが好きですね。
また、会話のなかにNARUTOというフレーズが出てくる点についてですが、これは、この作品の脚本を書く前にロンドンに住む子どもたちに今ハマっていることをリサーチした結果に基いているんです。
NARUTOはロンドンの子どもたちに大人気なんですよ」――この作品の制作において、日本に影響を受けた面もありますか?「映像面でひとつ挙げるとしたら、松本大洋さんの『鉄コン筋クリート』(2006年)ですね。
クロとシロといった子どもが街中を飛び回って、やくざと戦う。
”街を仕切っているのは僕らだ”というところや、彼らのもつ子供らしさ、また、彼らの住む世界のシビアさなど、そういったものを参考にしましたね」――エイリアンのようなクリーチャーが出てくる作品の場合、そのクリーチャーのビジュアルはとても重要なファクターになりますよね。
「この作品では、あえてクリーチャーを直接的に映さないことで、より観客の恐怖心を掻き立てています。
たとえ映ったとしても、窓越しだったり、煙ごしであったりと直接的にビジュアルを見せることをあえて控えています。
しかし、80年代の作品のように最後までエイリアンを見せないで、煽っておいて、見せた途端”なんだこれ?”と思わせてしまうようなことはありません。
我々の場合は自信をもったクリーチャーだからこそ、上手に隠しながら最後に見せるという手法をとったんです」――監督の次回作について教えて下さい。
2015年公開予定の映画『アントマン』で脚本を担当していますよね。
「『アントマン』に関しては、エドガー・ライトとともに執筆した脚本がすでに出来上がっています。
今、エドガーが、別の作品を撮影しているところなので、来年あたりに撮影に入れればいいなと思っています。
それ以外にも、ニール・スティーヴンスンの小説「スノウ・クラッシュ」をもとにした映画を監督する予定になっており、今脚本を執筆中です」――今年大ヒットした『アベンジャーズ』の続編『アベンジャーズ2』にアントマンが出るかどうかが話題になっていますが。
「それは僕の口からは言えないな(笑)。
(『アントマン』の)監督であるエドガーに聞いてほしいね。
(『アベンジャーズ2』に)出演してほしいかと聞かれてもそこは慎重に答えなければいけないので、ノーコメントだね。
ただ万が一そんなことが起きたらエキサイティングすぎることになるね」――最後に日本のクリエイターにアドバイスをお願いします。
「たとえ、まだ映画を作っていなかったとしても、自分に自信をもつことが大切です。
自分が作りたいと思っている作品があるなら、人が止めようとしても聞いてはいけません。
特に脚本家の場合は、マニュアル本やハウツー本に惑わされるなと言いたいです。
恐れずに自分がベストだと思う作品に仕上げればいいんです。
何を隠そう、私自身、ハウツー本を読んでいたときに大変なスランプに陥ってしまったので。
それを捨て去って、自分が正しいと思うものを書き始めたら、作品がうまく書けるようになりましたから」映画『アタック・ザ・ブロック』のBlu-ray(4,935円)&DVD(3,990円)は、カルチャア・パブリッシャーズより販売中。
(発売元:カルチュア・パブリッシャーズ/販売元:アミューズソフト)(C) StudioCanal S.A/UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011【拡大画像を含む完全版はこちら】
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同作では『ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン』(2008年)のエドガー・ライトが製作総指揮を務め、『宇宙人ポール』(2012年)のニック・フロストが出演するSFパニック・アクションものだ。
なぜコメディアンとしても活躍する彼は監督一作目にSFパニック・アクションものを選んだのだろうか、また注目の新作『アントマン』についても話を聞いた。
――まず、製作期間や予算を教えて下さい。
「撮影期間に関しては、ロケーションに5週間、スタジオで5週間の全10週間ほどですね。
予算は700万ポンドです。
この予算は、低予算作品の制作に慣れている監督にとっては高いと思われるかもしれませんが、延べ100名のクルーで夜間や追跡シーンを撮影したり、SFXなどを用いた点を考慮するとかなり挑戦的な金額だったと思います」――母国のイギリスでは、コメディアンとしても活躍しているわけですが、なぜ監督デビュー作をSFパニックアクションものにしたのかを教えて下さい。
「SFパニックものでないにしろ、ファンタジックな要素の入っている作品が撮りたかったんです。
この作品の舞台になっているロンドンのように、作品を観た人がすぐに場所を特定できるような所を舞台に、いきなりモンスターなどを登場させたかったんですよ。
そんなことを考えていたときに、真っ先に思いついたのが、”どこにでもいそうな今風の子供がなぜかエイリアンの死体をズルズルひきづって歩いている”というイメージだったんです」――今回、初めて監督するにあたり、参考にした監督、意識した作品などはありますか。
「1970年代、1980年代の監督である、ジョンカーペンターやウォルター・ヒル、ジェームズ・キャメロンが大好きです。
ウォルター・ヒルの作品でいえば『ウォリアーズ』(1979年)や『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年)などが好きです。
今回の撮影にあたり、特にキャメロンの『ターミネーター』(1984年)、『ターミネーター2』(1991年)のアクションシーンの撮影手法を参考にしましたね。
『ターミネーター』シリーズで、バイクを使ったアクションがあるんですが、そこでのアクションの振り付けがシンプルでクリアなんです。
そこが素晴らしいんですよ」――この作品を観ていると、エイリアンと戦う子どもの武器が刀だったり、子どもたちの会話のなかに日本の漫画『NARUTO』というフレーズが出てきたり、何か日本的な要素を感じます。
「日本の映画やアニメは好きです。
一番好きなアーティストは松本大洋さんですね。
イラストレーターとして一番好きですし、映画化された作品『ピンポン』も好きです。
監督でいえば、北村龍平監督や三池崇史監督。
作品でいえば深作欣二監督の『バトル・ロワイヤル』(2000年)などが好きですね。
また、会話のなかにNARUTOというフレーズが出てくる点についてですが、これは、この作品の脚本を書く前にロンドンに住む子どもたちに今ハマっていることをリサーチした結果に基いているんです。
NARUTOはロンドンの子どもたちに大人気なんですよ」――この作品の制作において、日本に影響を受けた面もありますか?「映像面でひとつ挙げるとしたら、松本大洋さんの『鉄コン筋クリート』(2006年)ですね。
クロとシロといった子どもが街中を飛び回って、やくざと戦う。
”街を仕切っているのは僕らだ”というところや、彼らのもつ子供らしさ、また、彼らの住む世界のシビアさなど、そういったものを参考にしましたね」――エイリアンのようなクリーチャーが出てくる作品の場合、そのクリーチャーのビジュアルはとても重要なファクターになりますよね。
「この作品では、あえてクリーチャーを直接的に映さないことで、より観客の恐怖心を掻き立てています。
たとえ映ったとしても、窓越しだったり、煙ごしであったりと直接的にビジュアルを見せることをあえて控えています。
しかし、80年代の作品のように最後までエイリアンを見せないで、煽っておいて、見せた途端”なんだこれ?”と思わせてしまうようなことはありません。
我々の場合は自信をもったクリーチャーだからこそ、上手に隠しながら最後に見せるという手法をとったんです」――監督の次回作について教えて下さい。
2015年公開予定の映画『アントマン』で脚本を担当していますよね。
「『アントマン』に関しては、エドガー・ライトとともに執筆した脚本がすでに出来上がっています。
今、エドガーが、別の作品を撮影しているところなので、来年あたりに撮影に入れればいいなと思っています。
それ以外にも、ニール・スティーヴンスンの小説「スノウ・クラッシュ」をもとにした映画を監督する予定になっており、今脚本を執筆中です」――今年大ヒットした『アベンジャーズ』の続編『アベンジャーズ2』にアントマンが出るかどうかが話題になっていますが。
「それは僕の口からは言えないな(笑)。
(『アントマン』の)監督であるエドガーに聞いてほしいね。
(『アベンジャーズ2』に)出演してほしいかと聞かれてもそこは慎重に答えなければいけないので、ノーコメントだね。
ただ万が一そんなことが起きたらエキサイティングすぎることになるね」――最後に日本のクリエイターにアドバイスをお願いします。
「たとえ、まだ映画を作っていなかったとしても、自分に自信をもつことが大切です。
自分が作りたいと思っている作品があるなら、人が止めようとしても聞いてはいけません。
特に脚本家の場合は、マニュアル本やハウツー本に惑わされるなと言いたいです。
恐れずに自分がベストだと思う作品に仕上げればいいんです。
何を隠そう、私自身、ハウツー本を読んでいたときに大変なスランプに陥ってしまったので。
それを捨て去って、自分が正しいと思うものを書き始めたら、作品がうまく書けるようになりましたから」映画『アタック・ザ・ブロック』のBlu-ray(4,935円)&DVD(3,990円)は、カルチャア・パブリッシャーズより販売中。
(発売元:カルチュア・パブリッシャーズ/販売元:アミューズソフト)(C) StudioCanal S.A/UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011【拡大画像を含む完全版はこちら】
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