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3次元と2次元の融合!舞台「VISUALIVE『ペルソナ4』the EVOLUTION」レポート

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「まるで絵の中から飛び出して来たような……」という紋切り型がありますが、それを文字どおり形にしてしまった舞台、それが「VISUALIVE『ペルソナ4』the EVOLUTION」です。原作である「ペルソナ」シリーズは、1996年から続く人気ゲームシリーズ。その第4作となるRPG『ペルソナ4』は、2008年の発売以来根強い人気を持ち、漫画やアニメなど、さまざまなメディアミックス展開をしている作品です。
この作品のテーマは、タイトルからも分かるとおり「もう1人の自分」。人が心の奥に抱えている、嫉妬や不安などの弱さも自分の一部として受け容れることで、困難に立ち向かうための人格の鎧「ペルソナ」を入手。それを使って、異空間にいる化物「シャドウ」と戦いつつ、田舎町で起きた連続殺人事件の謎に迫る高校生たちを描いた物語となっています。

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異世界でのバトル、謎解きミステリー、甘酸っぱい青春ストーリーと、さまざまな観点から楽しめる『ペルソナ4』の完全新作となる舞台第2弾が、天王洲 銀河劇場で開催されました。その見どころは? そして、タイトルになっている「VISUALIVE」とは? 初日の様子を写真とともにレポートします!

目玉は3次元と2次元を融合させたバトル

アニメや漫画を原作とした舞台の場合、公式ホームページにアップされた写真を見て、「似てる」「似てない」と感想を持っただけで終わってしまっている人が多いと思います。けれど、せっかくの舞台なのですから、生の役者さんが動いたり、しゃべったりお芝居したりするところを見なくてはもったいない! この「VISUALIVE『ペルソナ4』」の最大の魅力は、独特の映像演出を使ってゲームをプレイしている「気分」はきちんと残しつつ、ライヴならではの見どころがたくさん用意してあるところなのです。

舞台の幕が上がると、夢と現実、意識と無意識の狭間にあるという「ベルベットルーム」の美女マーガレットに誘われ、さっそく迫力満点のバトル開始! 主人公がおもむろに眼鏡をかけると、そこはもう怪物「シャドウ」がうごめくテレビの中の世界。長剣を振り回してはばったばったと敵をなぎ倒していく姿は、まさに迫力満点。

RPGゲームらしく、主人公の名前は日替わり(ちなみにこの日は「桐島修司」)なのですが、それを演じる馬場徹は、かつて「テニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』)」の柳生比呂士という眼鏡キャラや、黒澤明の『七人の侍』をベースにしたアニメの舞台化『SAMURAI7』の主人公も演じたことがあるので、眼鏡も殺陣もお手の物。クールなようでいて、ちょっと天然な佇まいは、アニメ版の主人公ともリンクしています。

そんな主人公がペルソナを召還するところは、スクリーンを使って演出。「イザナギ!」と叫ぶと、ペルソナがスクリーン上に現われて電撃を出し、それをくらったシャドウ(こちらは生身の人間が演じています)が次々と倒れていきます。3次元と2次元を融合させたこのバトルこそ、「VISUALIVE」の目玉だと言っていいでしょう。

そして、メインとなる高校生たちが1人ずつバトルしながらカッコよく登場。それぞれのキャラと関係性をテンポよく紹介してくれるので、ゲームやアニメを知らない人でも安心です。テニミュなど漫画やアニメが原作の舞台への出演経験豊富な、花村陽介役の前山剛久や巽完ニ役の近江陽一郎ら男性俳優はもちろん、すらっと伸びた足でキレのあるアクションを見せる里中千枝役の佃井皆美を始め、女性陣も奮闘。初登場のアイドル「りせちー」こと久慈川りせ役の鈴木友梨耶はゲーム・アニメ版の「これぞ2次元!」な声優・釘宮理恵のキュートな声に負けず劣らずのかわいさだし、白鐘直斗役の川上ジュリアも「男装の美少女」という難しい役所にチャレンジ。まだまだ女性ファンが多い世界ですが、ちゃんと男子にもお楽しみが用意されているし、主人公たちと共に戦う謎の生き物・クマのトコトコ歩く姿には、癒されること間違いなし。

甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれる学園パートも

さて、全員揃ったところでオープニングに突入。今年発売された『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』のオープニング映像を再現した映像と、生身の役者がまるでだまし絵のように融合して見えるところにはアッと驚かされます。『ペルソナ』と言えばこれ! なピアノが跳ねるスタイリッシュなハウス/エレクトロサウンドにのせて原作ゲームと同じように主人公が踊り出した瞬間、場内では悲鳴を飲み込む人多数。青春学園モノっぽいかわいさ炸裂のダンスシーンは、これを見るためだけでも劇場に足を運ぶ価値アリ!

物語は舞台版第1弾の続きからなのですが、雨の日の真夜中にテレビに映った人間がテレビの中に取り込まれて、後日死体で見つかるという怪奇事件を主人公たちが解決しようとしている、ということが分かっていれば大丈夫。主人公の親戚・菜々子の身に危険が迫ったり、前回の公演で犯人逮捕と思いきや、実は真犯人が他にいることが分かったり……と、怒濤の展開が続きます。

 

その謎解きと並行して進む学園パートでは、報われない恋心や、同性同士(?)の道ならぬ恋などがコントタッチで描かれ、あのころの甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれます。文化祭での女装コンテストで、女の子顔負けのキュートな姿を披露する男の子たちに感心するもアリ、復讐に燃える主人公の親友・花村を応援するもアリ、天然ボケだったのに徐々に逞しく成長していく主人公に、育成ゲーム的な面白みを感じるのもいいでしょう。

そのなかで徐々に分かってくるのは、これは単にペルソナとシャドウという怪物とのバトルであるだけではなく、辛い現実から逃れたいという思いと、仲間や家族との絆を信じて残酷でも真実を追い求めたいという思いがしのぎを削るバトルでもあるということ。ある種、2次元と3次元とのバトルにも思えてきてしまうのは、ちょっと行き過ぎでしょうか。



そしてすべてが解決したあと、主人公と仲間たちがお別れするラストシーンも印象的です。両親の都合で1年間だけ親戚の家に居候していた彼は、仲間を残してこの町を去っていく。スクリーンに映された電車のなかに乗り込み、車窓から手を振るその姿は、テレビの中から出てきたような男の子が、またテレビの向こうに帰っていくようで、なんだか感慨深いものがありました。このあたりのオチのつけかたは、野田秀樹作品や宝塚、東宝ミュージカルなどの映像プランナーとしても活躍中の奥秀太郎らしい演出だと言えるでしょう。

2次元と3次元を融合させることで、新たな地平を目指した「VISUALIVE『ペルソナ4』the EVOLUTION」。アニメやゲームの2次元が好きな人も、逆にそういう世界とは無縁だという人にも楽しめる要素満載です。2013年2月15日に公演の様子を収めたDVDが発売決定。

「VISUALIVE『ペルソナ4』the EVOLUTION」 DVD化決定
2013年2月15日発売/アニメイト全店、及びアニメイト通販で予約受付中


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