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都市伝説の話

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最近では「都市伝説」という言葉も随分ポピュラーになりました。また、インターネットの発達によってその流布するスピードも高速になっています。でも、みなさんは都市伝説が学者の研究対象になり、そこから1つの「ジャンル」として一般に認知されるようになったのを知っていますか?



■消えるヒッチハイカー

最も初期に都市伝説についてまとめられた研究書はアメリカの民俗学者ジャン・ハロルド・ブルンヴァンによる『消えるヒッチハイカー』が有名です。都市伝説という言葉を最初に使ったのは、フランスのエドガール・モランという学者ですが、ブルンヴァンは「都市伝説の宝庫」であるアメリカの面白い話を採集し、解説を加えてこの本にまとめました。ブルンヴァンの著作によって「都市伝説」という言葉が広く知られるようになっていったと言ってもいいのです。

タイトルにもなっている「消えるヒッチハイカー」はこんな話です。

ある男性が深夜クルマを走らせていました。すると国道脇の非常に寂しい場所で女性がヒッチハイクをしています。男性はいぶかりながらも女性をクルマに乗せて家まで送ってやることにしました。家に着くと、後部座席に座った女性の姿がありません。おかしなこともあるものだと、男性は家の人を呼びます。家人は「またですか」と言います。実はヒッチハイカーはこの家の娘で、既に車の事故で死んでおり、今まで何人もがその幻の娘を車に乗せて、この家まで運んでいたのでした。

この話はアメリカで流布された古典的な都市伝説で、幾つものバリエーションが確認されています。例えば、クルマに乗って来るのが「白いドレスの女」というバージョンもあります。その場合には、プロムの日に着飾ってでかけた女性が不幸にもその日に交通事故で死んでしまい、といったより効果的な因縁話にされていたりします。

アメリカのSFドラマ『トワイライトゾーン』にも同じ題材をとったとしか思えない話があります。ただし、このドラマの場合には、実は幽霊だったのはクルマを運転していた女性その人で、自分の家に電話してみると「娘はもう死んでいます」と告げられるというオチが付いていました。つまり「消えるヒッチハイカー自分版」というわけです。

■都市伝説は震源地を探れない!

上の消えるヒッチハイカーを読んで「おや?」と思われた人がいるかもしれません。クルマをタクシーに変えれば、「到着した所で女性が消えた。シートはぐっしょりとぬれていた」といった、日本でも古典的な怪談話にそっくりであることがわかるでしょう。しかし、アメリカで流布された消えるヒッチハイカーが日本に到着し、それが改変されて、いわゆるタクシー話になったのかどうか? これは確認することができません。日本にも怪談話の素地があり、似た話が離れた土地で同じように作られ流布されたのかもしれません。それぞれの話の起源が特定できないのです。誰がいつ原形を作ったのか、また流布の経路、これをたぐることが極めて困難なのも都市伝説の特徴なのです。

■ベッドの下に誰かいる!

もうひとつ古典的な都市伝説を挙げてみましょう。

ある女性の部屋に友達が泊まりに来ました。夜も遅くなり、もう寝ようかという時間になって、友達が突然外に出ようと言います。その女性はいぶかっていましたが、仕方がないので友達と一緒に部屋から出ました。すると友達が「実はベッドに下に男がいるのが見えた。警官を呼びに行こう」と言うのです。

友達が「コンビニに行こう!」と突然言い出したり、また男が隠れているのがクローゼットだったりとさまざまなバリエーションが存在するのですが、実はこの話はアメリカ生まれの都市伝説なのです。部屋の中に誰かいる! という恐怖は普遍的なもので、例えば『暗闇にベルが鳴る』というスラッシャームービーの元祖と言われる映画がありますが、その中に「犯人はこの家の中だ!」と判明するというぞっとするシーンがあります。誰もが抱く恐怖をうまくお話にまとめているからこそ、この都市伝説はヒットしたのでしょう。

■日本の好著『都市伝説の正体』

最近のトレンドも取り入れて日本でまとめられた好著があります。祥伝社から刊行された宇佐和通氏の『都市伝説の正体-こんな話を聞いたことはありませんか?』です。インターネット上で流布された話や、(また最近ではCGで何でもできますから)驚くような画像も掲載されいます。中でも、9.11の時に偶然撮られたとされる、飛行機が今まさに突っ込んでこようとしている画像は迫真のできです。この本は新書サイズで読みやすく、都市伝説について手軽に知りたい人にはお薦めです。

どこから来てどこへ流れていくか分からない都市伝説ですが、だからこその恐怖、面白みがそこにはあります。あなたはどんな「お話」を聞いたことがありますか?

(高橋モータース@dcp)

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