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「ひよっこ」81話。そうきたか宗男おじさん! ビートルズのチケットの行方は 

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第14週「俺は笑って生きてっとう!」第81回 7月5日(水)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:川上剛

81話はこんな話
朝までかかって赤飯づくりが完了。島谷(竹内涼真)は、宗男(峯田和伸)に、ある申し出をする、

宗男の選択
さすが佐賀の御曹司。島谷は、父がツテで手に入れたビートルズのチケットを送ってもらっていた。
だが、それを、宗男に差し出す。
島谷は、みね子(有村架純)が一生懸命応募したのに手に入らなかったものが、簡単に手に入れてしまったことを恥じていた。
みね子に、渡すのも「なんかできなくて。やりきれなくて」と葛藤する島谷。
みね子が以前「私は可哀そうなんかじゃないって、そういうふうに観えるかもしれないけど違う」と言っていたことが印象に残っていて、島谷も「単に恵まれてるとか思われたくなかったのかな」と言う。
ひで(磯村勇斗)は、その島谷の複雑な思いの中から、みね子への好意を感じるとる。

なんとも、人間の複雑なところに迫る「ひよっこ」。
人は、単純に、可哀そうなキャラでもないし、恵まれているキャラでもないし、「好き」な気持ちは「好き」という言葉以外でも表現できる。

極めつけの複雑さは、宗男がその後、とった行動だ。
貴重な1枚のチケットを、なんと・・・。

なぜ! と思ったり、宗男、かっこいい!と思ったり。
もやもやするけれど、逆に、81話が胸にしっかり刻まれた。

宗男に子供が
茨城では、宗男の妻・滋子(しずちゃん)が、みね子の家に来ていた。子供を3人連れて。
3歳、4歳、5歳の年子の3人は、全員マッシュルームカットだった。滋子のボブも似たようなもの。小祝家、家族そろって同じ髪型と言っても過言ではない。

宗男が突拍子のない行動をとる人ではあるが、実のところ小祝家はかなりいい感じ。それを目の当たりにした美代子は「(夫のいない生活に)慣れてきた」と自虐的なことを言う。
すぐさま滋子が「そんなことに慣れちゃダメだ」って強く言うところは、泣ける。
しずちゃん、当初はイメージシーンばかりで、最近になって他の俳優たちと絡みのシーンが出てきたばかりだが、ちゃんと物語に溶け込んだ、エモい芝居をする。

朝ドラと昼ドラのかぶりは偶然か

81話で素敵だったのは、女性たちが、赤飯づくりの合間に、「夜明けのうた」(64年、歌:岸洋子)を歌うところ。ひとり、ワンフレーズくらいずつ、リレー形式で歌いながら、徐々にみんなの心がひとつになっていく。
女性が楽しく歌っているのは平和の象徴に思える。男性陣もにこにこ。
「ひよっこ」は、当時の流行歌を、さりげなく生活の中に取り入れているところもうまい。

さて、この「夜明けのうた」は、浅丘ルリ子の主演映画の主題歌にもなったという。
浅丘ルリ子といえば、テレビ朝日で、倉本聰が脚本を書いている、シニアのための昼の帯ドラマ「やすらぎの郷」に出演中。ちょうど、今週は、浅丘ルリ子の演じる役のターンでもある。

ここのところ、ずっと、朝ドラと昼ドラ両方観ることが、毎日の楽しみで、そうしていたら、この2作、時々、不思議と重なるところがあることに気づいた。
(ここからは、朝ドラしか興味のない方は読み飛ばし、また明日のレビューをお楽しみください)。

朝ドラと昼ドラ、そもそも、最初から少しかぶっていた。「ひよっこ」の主人公みね子の「お父さん・・・」というモノローグがナレーション代わりになっているのは「やすらぎの郷」の脚本家・倉本聰の作品のオマージュだろうということはすでによく語られているが、まず、「ひよっこ」の初期の舞台は茨城で、「やすらぎの郷」でも、茨城のエピソードがあった。さらに、あれ、何かかぶってるぞ、と思ったのは、5月22日(月)の週だった。「ひよっこ」では、乙女寮の女子たちが、水着を買って海水浴に行こうとしていた。
「やすらぎの郷」では、その前の週に、風吹ジュンの若い頃の水着写真が登場していた。
これくらいはニアミスかなと思うのだが、完全にかぶっている! と思ったのは、6月19日(月)からの週だ。
「ひよっこ」の水曜日は、みね子が漫画家たちの漫画を読んで、涙ぐむシーンがあり、「やすらぎの郷」の木曜日では、主人公・菊村が妻の変わり果てた姿に思わず涙ぐむシーンがある。

また、金曜日に、みね子が、省吾の娘・由香を「悪魔です」と言っていて、「やすらぎの郷」でも金曜日に「夜は天使だって 悪魔に変えます」という台詞が出てくるのだ。

「ひよっこ」のあかね荘の炊事場には「お年寄りを大切に」という張り紙があり(大家さんのことだが)、お年寄りを大切にというメッセージも感じる、老人が主役のドラマ「やすらぎの郷」を思わせる。

6月26日(月)の週では、「やすらぎの郷」が戦争のエピソードを描き、7月3日(月)の週では「ひよっこ」が戦争のエピソード。
さらに、26日の週は、「ひよっこ」では、ビートルズのエピソードが主になり、「やすらぎの郷」では、6月30日にビートルズの「ハローグッバイ」がバーの場面でかかっていた。

役名もかぶっている。「ひよっこ」のヒデ(秀俊/磯村勇斗)と、「やすらぎの郷」の秀さん(秀次/藤竜也)。
もうすぐ「ひよっこ」に登場する、菅野美穂扮する女優は世津子。省吾の妻も節子。「やすらぎの郷」には、八千草薫演じる九条摂子 と、“せつこ”つながりだ。
「ひよっこ」の古谷一行と、「やすらぎの郷」の石坂浩二、金田一耕助を演じた俳優がどちらにも出ているなんてことも。

これらは他愛ない偶然の一致に過ぎないかもしれない。たぶん、そうだ。でも、こんなつながり探しも、朝昼ドラマ観賞の楽しみになってきている。
ちなみに「ひよっこ」の脚本家の岡田惠和は、「老後は“やすらぎの郷”に入れてもらいたい」そうだ(6月26日日刊スポーツの記事より)。
(木俣冬)

【関連リンク】
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